20代で人生の年収は9割決まる
- 作者:土井 英司
- 発売日: 2010/12/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
Prologue
- 35歳までになにかしらの「手がかり」を得るには,20代のうちに「仕込み」を終えておかなければならない.
- 本書では就職してから30歳まで,年齢ごとの「仕込み」について,具体的かつ実践的に伝えていく.
- 成果を上げるには,自分に合ったワークスタイルで,自分の強みを活かすことが不可欠.
就職してから30歳までは,所属する会社を使って,自分のやりたいことと,自分に合ったワークスタイルを見極め,自分を磨きぬく期間.
いわばビジネスパーソンとしての「仕込みの8年間」です.
つまり,30歳までに徹底して自分を磨きあげるとは,30歳以降は「組織もOK,経営者もOK,フリーもOK」という状態に自分を整えておくということです.
第1章|「仕込み」は30歳までに終わらせる!
キャリアは,最後に笑った者の勝ち
- 本物のキャリアは,30歳からスタートする.
- 30代からは,20代でつくり上げた自分を社会のなかで動かす時期.
- 30歳までの間,ひたすら奮闘し,潜伏するかのように努力する.そうしてきらきらに磨き上げた自分がどこまで通用するのか,成果を実感しながら試していくのが,30〜35歳.
「仕込みの8年+α」のルートマップ
- 26歳から28歳までの3年間は,自分のナンバーワンをつくる時期:
- 「自分の手柄」とはっきりわかるものを,一つは手に入れよう.本腰を入れてホームランを狙う時期.
- この年齢は,同期入社した人でも,将来出世の見込みがある人とない人に分かれていく.
- 分かれ目は,「こいつは,なかなかできるやつだ」と,社内で認められるかどうか.それには小さくてもいいので,はっきりと目立つ実績,「自分の手柄」を立てること.
- そうすると,大きな仕事が任され,ホームランを打つチャンスがもらえる.
- 29歳から30歳までの2年間は,外の世界を見る時期:
- 31歳の1年間は,マネジメントを学ぶ期間:
- 20代なら個人プレイのホームランで十分だが,今後は人を使ってチームとしてどこまでやっていけるかが重要であり,人間力がその決め手となる.
- 組織人としても,どんな会社のどんな立場が自分のワークスタイルとしてふさわしいか,この1年で見極められる.
「40歳で課長」はその後が不安
- 30歳になったら誰でも岐路に立つ.すなわち,ずっと専門職でいくのか,マネジメントをしていくかを選ばねばならないときが必ずくる.
- 独立する場合は,フリーか,起業して会社組織を作るかという2択.
- 組織で働き続けるなら,会社の職人として遊軍的に働くのか,マネジャーになるかという2択.
- 「〇〇さんは特別」と称される,単なる"できる人"ではなく,"スターのような人".これが「会社の職人」の条件.
- 年齢が上がったら,マネジメント能力が必要になる.これは組織の絶対ルール.
- 多くの成功者は40代以降,「①30代までのインプットの組み合わせ ②成功パターンの応用 ③人の力を使うこと」のいずれかで成果を出している.
甘いも苦いもすっぱいもある人間になれ
どんな分野でも上には上がいるというのは,いささかキツいけれど,たしかな現実です.
しかし,強みを組み合わせることでシナリオは変わります.転職市場をみれば,わかるはずです.
「ITが得意な人」も「英語ができる人」も「数字に強い人」もたくさんいるけれど,「ITも,英語も両方できる人」は,なかなかいません.
3つを組み合わせたら,もっと少ないのです.ヘッドハンターが欲しがるのは,そうした人材です.
組み合わせが「意外・多数・複雑」だと,ほかに代わりのいない人材になれる.これは一つの道を究めるより,ぐんと成功率が高い作戦といえます.
「その年齢でしかできないこと」をやっておく
- 読書や英語の勉強といった時間がかかる蓄積は,学生時代にやっておくのがベスト.
第2章|23歳までに高い評価で入社する
大企業で活躍する人の「5つの資質」
- 歯車にならず,大企業で自分を活かす人に,不可欠な資質は5つある:
- マネジメントができる人
- マネジメント能力なしに大企業で自分の力を発揮できる人は,ビジネス書を読んでも経営者を見ても,見当たらない.
- 我慢強い人
- 大企業は人間関係が複雑で,利害関係も複雑だから,調整能力や根回し,緻密な気配りが要求される.
- 責任感が強い
- 社員はもちろん,社員の家族,取引先,下請けの生活まで考えられる責任感の持ち主が,大企業で伸びていく.
- 清濁併せ呑める人
- 清濁併せ呑める人,資本主義のロジックで動ける人でなければならない.
- 数字に強い人
- お金と数字に強くない人は,企業のトップにはなれない.
- マネジメントができる人
入社試験の評価で配属は決まる
- 20代の場合,素直さは絶対条件.
- 新しいことに興味を持ち,教えられたらすぐ学び,何か勧められたら迷わず試してみる.
- これは新卒であっても転職であっても,20代のビジネスパーソン採用の必須条件.
「なにか質問は?」と言われたら,地頭力を見せるチャンス
- 質問しないとは,「あなたには興味がありません」と表明しているようなもの.
- 地頭力のいい人のコミュニケーションは,たいてい簡潔.
自分のどこをアピールするべきか
- 自己PRはすべて実際にあった出来事を話す.業種を問わず,すべての企業が求めているのは「持続力,創意工夫する力,自信」.
- 自分はこの3つを兼ね備えた人材だということを事実をもとに伝えるのが,正しい自己PR.
- 持続力をアピールする際は,実績が必要.
- 創意工夫する力は,失敗から生まれる.
- 自信の源は,成功体験と自己肯定にある.
- 面接官が聞きたい話を,彼らが飽きないように簡潔に,要領よく,ポイントを外さず伝えていく.
- 相手のための自己PRという意識があれば,暴走せずにすむ.
「この会社から求められていること」を知っておく
- 次の2点を意識する:
- 自分はこの会社で,何を期待されているか.
- この会社に足りないものを,自分がどう補えるか.
第3章|入社〜25歳:体を使って会社に尽くす
3年目までは自我を捨てろ!
- いくらあなたが賢くても,上司のやり方と自己流のやり方を比べた場合,成功率が高いのは明らかに上司のやり方.
- 最初から自己流のやり方にこだわると,うまくいかないし,自分でつくった小さな枠にこだわる妙な癖がついてしまう.
- 新人が持っているものは時間と体力だけ.忙しくて時間がない優秀な上司や先輩に,自分の時間を捧げることが,新人が唯一できるビジネスといえる.
上肢に賭けてもらえる新人になる
- 99の努力があっても,運や縁やタイミングが巡ってこないと,成功できない.
- 成果を出している人は,「成功のにおい」を嗅ぎ分けるカンに優れている.
- 魅力的な編集者は,何十万部というヒットを出している代わりに,1000部しか売れなかった本という最低記録も持っている.
- 魅力とは「引く力」,引きつけたいなら一歩引いて,「わからない部分」を残したほうがいい.
判断力より洞察力を磨く
- 上司や先輩が決めたことを,確実にやり遂げる.
- この際に大切なのは,相手が何を欲しているかを確実に理解するための「洞察力」.
- 洞察力を磨くには,まず,観察力を鍛えること.
- まわりをよく見て,話をよく聞いていれば,だんだんと洞察力が身につく.
第4章|26〜28歳:自分のナンバーワンをつくる
丁稚には定年がある
- 自分らしさや強みを見つけるためのポイントは3つ:
- 何に時間とお金を使ってきたか
- 納得できないことは何か
- プライベートでどんなことをしているか
「納得しない力」はその人の才能
他の人が気づかないようなことに気づく.これが才能というものです.
気づくとは,気になってたまらないことでもあります.あるべき姿になっていないと,どうにも納得できないのです.
あなたにも,納得できないことが何かしらあるでしょう.気になってたまらないこと.許せないこと.こだわってしまうこと.それがあなたの才能です.
「得意分野」はプライベートからしか生まれない
- 人と差がつくのは,できることではなく,プラスαの部分.それがあなたの「得意分野」となる.
- 25歳で見つけるべき「プラスα」は,すでにプライベートを費やしていること.
- プライベートからしか,20代で花咲く「得意分野」は生まれない.
仕事は「やりたいこと」より「ほしい結果」で選ぶ
- 何かしら結果がほしい人は,まず自分が何をほしいかを考える.
- 高収入,有名人に会える,人に認められる,実績を残せる.何でもかまわない.
- 一度でもほしい結果を手にすると,人はその報酬の中毒になる.
- そうなると,プロセスもだんだんつらくなくなり,それが「やりがいのある,やりたいこと」に変わる.
仕事と自分の才能は釣り合っているか?
- 何を見たときに自分が感動するか,すごい,美しい,すばらしいと思うか.これも「ホームランを打てるような仕事」をするためには大切なこと.
- うまくいっている仕事,「あんなことができたらすごい」という仕事が見つかったら,そのプロジェクトに参加すべく努力を始める前に,「自分が関わって,この仕事は変わるだろうか?」と考える.
- 理想の働き方をしている上司,憧れの先輩がいたとして,「あの人と同じ仕事を,自分らしいやり方でできるだろうか?それによってもっと成果を出せるだろうか?」と考える.
- 憧れは,憧れのままそっとしておいたほうがいいケースは,意外にたくさんあるもの.
遊軍のうちに上司を勝たせる
- 成果を出すためには,上司を味方につけ,「こいつに任せてみよう」と思わせることが大切.
- 上司に花を持たせる.あなたの力で上司を勝たせる,これくらいの気持ちで,一生懸命に尽くす.
- 同僚でも上司でも,いかに自分のまわりの人に手柄を立てさせるかを徹底的に考え,実行してみようという提案.それはやがて,自分に返ってくる.
「みんなが無理だとあきらめたこと」をやってみる
- 逆に考えれば「みんなが無理だとあきらめたこと」をやり続ければ,絶対に成果は出る.
- 「どうせ無理だ」と,みんなが最初から勝負しないことを,やり続ける.
- これも自分の成果,自分のナンバーワンをつくる一つの方法.
「会社の看板」を超える業界ホームランを打つ
- 自分で会社を選べるようになるためには,「あいつはできるやつだ」と業界内で知られた存在になっているのがベスト.
- 転職したいとき,ネットの求人情報に登録するだけが唯一のルートになるか,ヘッドハンターや同業他社からも声がかかるかという違い.
- ホームランを打ち,自分のナンバーワンをつくる方法:
- いろいろなやり方を試し,球を当てること.
- 当てた経験を自信に変えること.
- まわりに応援してもらうこと.
- この段階までくると,まわりの人が変わる.「あいつはなかなか打てる」と,上司や先輩が評価してくれる.
- すると,チャンスが巡ってくる.よい打席に代打で出してもらえたりする.
- 経験,自信,チャンスに助けてくれる人脈が加わると,タイミング次第で十分にホームランも狙える.
第5章|29〜30歳:会社の外に出てみる
自由を手に入れるための「社内交渉力」を持つ
- これまで社内に向けてきた目,注いできたエネルギーを,外に向けるタイミング.
- ずっと今の会社でがんばっていくのか,転職するのか,企業を目指すのか,フリーになるのか,「次のステージ」について考える時期.それが29歳から30歳まで.
- 準備万端かどうか点検するとは,社内交渉力を持っているかどうかということ.
- 会社のなかで自分の意見を通す交渉力が,どれだけあるのか.どれだけ裁量があるのか.自分に決定権があり,自由にやれる範囲はどのくらいか.
- 28歳までに自分のナンバーワンができていれば,「きちんと交渉すれば,ある程度は自分に任せてもらえる.上司にも口出しされない自信がある」とはっきり答えられるはず.
転職によって「評判と信頼」を確立する
- 28歳までに業務をこなして成果を出せるようになっていたら,転職するのも一つの手.
- 30手前というのは,さらに新しいキャリアを積んで,付加価値をつける絶好のタイミング.
- ただし,あなたが今の会社で相当に高く評価されていて,人を束ねるスキルに長けており,「将来はこの会社の経営幹部を狙えるし,それが目標だ」という場合,転職はやめておいたほうがいい.
- 自分で商売をやっていくならある程度の資本が必要だが,「評判と信頼」もまた不可欠の自己資本.つくっておくに越したことはない.
ヘッドハンターとフェイスブックの活用法
- 同僚,取引先,元上司に’「この仕事なら,あいつがすごい」と言ってもらえるような人間になっておくこと.これがヘッドハンティングされる絶対条件.
第6章|31〜35歳:組織を切り盛りする
31歳の必須科目は「マネジメント力,表現力,人脈力」
- 35歳からは,今の会社にとどまっても,転職しても,起業するにしても,マネジメント力の有無によって成果が決まる.
- 30代の人をほしがる多くの企業は,単純に仕事ができる人でなく,「仕事ができる人を育てられる人,今いる人を束ねられる人」を探している.
マネジャーの給与が高いのは,二倍働くからではない
- マネジャーの給与が高い理由:
- 自分の秘策を「誰でもできるもの」に仕組み化しておくこと.
- 再現性のあるノウハウを,たくさんの部下に再現させること.
Epilogue
最近は,スピード感あふれる時代を反映してか,若いうちから名を上げようとする人が多いのですが,20代にすべきことは,自分の城を建てることではありません.
20代は,自分が尊敬する人のために城をつくり,同時に自分の石垣を築き上げていく,貴重な時期なのです.