SINGLE TASK 一点集中術
SINGLE TASK 一点集中術――「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる
- 作者:デボラ・ザック
- 発売日: 2017/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
INTRODUCTION
シングルタスクの原則
一度に「1つの作業」のみに没頭する
- 作業の能率が落ちる原因は2つ:
- 「頭に浮かんだ別の思考」
- 「外部からの刺激」
「思考」「行動」「周囲」をコントロールする
- Part1:基礎を学び,土台作りをする.
- Part2:考え方,仕事,対人関係を変えていくテクニックを伝授する.
- Part3:しっかりと疲れをとって充電し,平穏で幸せな暮らしを続けていく方法を紹介する.
もっともタスクを変えない人が,もっとも能率が高い
- ハーバード大学の研究:
- 「あたふたとせわしなく働いている社員たちは1日に500回も注意を向けるタスクを変えるが,もっとも能率の高い社員たちは注意を向けるタスクを変える回数がむしろ少ない」
- つまり,タスクからタスクへと注意を向ける先を切り替える頻度の高さは,生産性の低さと相関関係がある.
いつでも使える「集中法」を身につける
- 「これまでマルチタスクが役に立ったことはあるか」と自分に問いかけてみる.
- 本書は,1つの作業に専念し,能率を上げ,気が散らないようにする方法を紹介する.
- 一点集中術は,あなたの生活の質を変える.
PART1|原則を固める
第1章|マルチタスクを封印する──「同時進行」の誘惑から逃れる
- 私たちはいま,「マルチタスク」という現代病に集団感染し,次のような症状を訴えている:
- しなければならないことが多すぎて,時間が足りない.
- 生活がゴチャゴチャ,頭の中もゴチャゴチャ.
- 毎日の用事が増えるいっぽう.
- 「集中力を奪う邪魔物」が嵐のように押し寄せている.
「同時進行」をやめるだけで成果が上がる
- 本来,「一度に複数の作業をしようとする」こと自体が「気が散っている」ことを意味する.
- めざましい成果を上げたいのなら,脇目もふらず,目の前の作業に集中するしかない.
「いつだって選択肢は2つだ.1つのことをうまくやるか,2つのことをヘタにやるかだ.」
膨大な情報の「誘惑」に流されない
- 私たちはつねに気が散っている.この状態が続いていて,うまくいくはずがない.
- そもそも人間の脳は,一度に複数のことに注意を向けることができない.
タスクからタスクにスイッチしているだけ
- 「脳は一度に1つのことにしか集中できない」
「人間はじつのところマルチタスクなどしていない.タスク・スイッチング(タスクの切り替え)をしているだけだ.
タスクからタスクへとすばやく切り替えているだけである」
- 一般に「マルチタスク」と考えられている行為は「タスク・スイッチング」にすぎない.
「集中力」を身につけるのは生きるための技術
- 複雑な2つの作業を同時におこなおうとすると,脳のなかで同じ部位──前頭前野──の取り合いが生じる.
- 人はすでに目の前にあるものより「目新しいタスク」に目を向けたくなる性向がある.
第2章|すべてを一気にシンプルにする──「一点集中術」とはなにか?
- シングルタスクとは,「『いまここ』にいること」「一度に1つの作業に没頭すること」を意味する.
- マルチタスクとは,絶え間なく気が散っている状態を意味する.
- シングルタスクをするには,いまという瞬間,ほかの要求にいっさい応じることなく,1つの作業だけに取り組むことが求められる.
- 次の作業に着手できるのは,いま取り組んでいる作業を終えてから.
- とはいえ,なにも目の前の作業をかならず完了しなければいけないわけではない.
- 「この時刻までは,この作業に専念する」と決めた時刻が来るまで,集中すればいい.
こんどミーティングに出席したら「いまここ」にいる練習をしよう.
心と肉体を同じ場所に存在させるのだ.出席するとは,「いま,この瞬間に意識を向ける」ことなのだから.
PART2|行動を変える
第3章|脳の「集中力」を最大化する──脳がエネルギーを出せる環境をつくる
- シングルタスクとは,たんなる行為を指すわけではない.自制心を発達させることでもある.
- マルチタスクの誘惑に負けてしまうのは,たいてい,他者の期待や要求に応じねばならないという義務感に駆られているとき.
- すると本来,自分が優先したいと思っていたことを後回しにしてしまう.
- そんなとき,あなたのなかにはたいてい「相手に高く評価されたい」という欲望があり,それが不安感を引き起こしている.
- シンプルに考えたいのなら,1日のあいだに「ひとりでじっくりと考え事をする時間」を決めるのがいい.
- 優先順位をつけることができない複数の要求にさらされると,脳は圧倒され,うまく機能しなくなる.
- 1つの作業に没頭すると「フロー」の状態が生まれる.すると,その行為に完全に集中し,ふだんよりずっと高い能力を発揮できるようになる.
- タスク・スイッチングをしていると,「フロー体験」をできる可能性がゼロになる.
第4章|全行動を「1つずつ」にする──最大の成果をもたらす1日の行動法
- 休憩を定期的にとるほうが,かえって成果をあげられる.
- しっかりと休憩し,自分を「オフ」にする時間があるからこそ,「オン」のときに集中できる.
- 毎朝「3〜5分」の時間をとり,今日の予定をすべて書きだす.
- メール送信は「出社時」「昼休み前」「退社前」の3回に制限する.
- どうしても取り組まなければならないのだが,そう考えるだけでうんざりし,なかなか着手する気になれない用事は,朝イチで片づけてしまおう.
- 重要なタスクをいつまでも先延ばしにしていると,それは重荷となり,あなたの胸にいつまでものしかかる.
間仕切りも何もないようなオフィスに勤務する人からはよく「シングルタスクなんて無理ですよ」という嘆きの声を聞く.
無理もない.注意力を奪うものがそこらじゅうにあるのに,そうしたものと一線を画する境界がないのだから.
- 「仕上げてしまいたい仕事があるので,一時的に外部との接触を断っています」と周囲に知らせておけば,邪魔が入りにくくなる.
- 毎日「小さな目標」を設定して,達成できたかどうか記録を続ける.
第5章|5分で周囲の「信頼」をつかむ──「ノー」を言うことで人望を集める
- 「発言を疑われても,行動で示せばかならず信じてもらえる」
- 行動は言葉より多くのことを物語る.
- シングルタスクを実践するには,自身の「習慣」を変えるだけでなく,ほかの人があなたに寄せる「期待」も変えていかなければならない.
- 「干渉を受けずに仕事に取り組むからこそベストを尽くせる」という人もいる.
- あなたの仕事のスタイルが,邪魔を最小限に抑えたいタイプなら,そのスタイルを貫くことが自分の責務.
- ソーシャルメディアに気をとられている時間が増えると,生産性が下がり,対人関係が悪くなり,時間が浪費され,重要なデータを取捨選択する能力が低下する.
- 現実には,つねにネットに接続して,いつでも周囲からの要請に対応できるようにしておくほうが,プロとしての信頼性をはるかにそこなう.
- どちらの道を進むのがいいだろう──「明確な境界線を設け,1つのことに集中する」道と,「あちこちに注意を分散させ,まったく集中せずに進む」道と.
- 万人にいい顔をすることが,献身的に働くことを意味するわけではない.
- すべての質問や問い合わせに即座に応じていたら,成果はなにもあがらない.
- 敬意を示しながらきっぱりと「ノー」を言うことで相手の信頼を獲得する.
PART3|定着させる
第6章|賢者の時間術「タイムシフト」──「最重要課題」を攻略する
- 忙しくすごしている人が,能率よく働いているとはかぎらない.
- 一定の時間内でそれほど多くの作業をこなせるはずがないのに,ついあれこれ手をだしてしまっている.
- その結果,常に注意散漫な状態で,膨大な要求に答えられずに不満を抱えて生活している.
- 質の高い仕事をする鍵は「些末な多数」(トリビア・メニー)と「ごくわずかな重要なもの」(バイタル・フュー)を区別することにある.
- そのためには,自分のタスクをていねいに見なおし,最重要のタスクと,とりあえず後回しにできるものとを区別するとよい.
- 私たちは,テクノロジーの進化により時間が節約できるようになったはずなのに,どういうわけか,いまだかつてなく多忙をきわめている.
- 一点集中術は,最優先の作業から少し離れる時間を予定に組み込むことで大きな効果を発揮する.
- リラックスし,充電したあとのほうが能率は上がる.
- 日常の業務とはべつの目標を立て,そのゴールに向かって心身ともに没頭すると創造性を発揮できる.
第7章|継続する方法──24時間「いまここ」にいつづける
- 毎週短くてかまわないので,自分が興味をもっていることに専念する時間を設けよう.
意思決定のポイントは2つだ.
〈選択する.そしてブレずに実行する.〉
ある行動をとると決めたら,真剣にその行動を続けよう.
いま自分にとっていちばん大切なことはなにかを考え,それに誠実に取り組もう.
とにかく,頭に叩き込んでもらいたい.呪文のように唱えよう.
- 複数のタスクを同時にこなそうとすると,タスクを1つずつこなしていくよりも結局は時間がかかる.
- 「いまを生きろ」という格言があるが,それは「生涯を通じてシングルタスクを続けなさい」という意味である.
イライラしたり,やる気がまったく起こらなくなったりするのは,一度にたくさんのことをしようとした結果かもしれない.
あなたがもっとも創造性を発揮でき,成果をあげ,自分を誇らしく思えたのは,どんなときだろう?
そのときあなたは,目の前の作業に没頭していたはずだ.