運命と選択の科学
第1章|自由意志か、運命か?
本書の中心となるのは「主体性」という問題だ。
わたしたちはどの程度まで、自分の行為や自分の身に起きることをコントロールできるのだろうか?
自分自身を形成するもののうち、どれくらいが生まれつきの遺伝として脳の機能に書き込まれ、血管を流れているのだろうか?
行動はどの程度まで生得的なものなのか、決断はどの程度まで潜在意識レベルでなされるのか。
本書では、それについて私が学んだことを、脳の成長と変化の能力について神経科学が明かす内容も交えて、まとめたいと思った。
それは、私たちの行動をつくり上げ、人生を方向づける一因について、もう少し理解に近づく魅惑の旅路となった。
第3章|空腹な脳
私が言いたいのは、食事という最も普遍的な行動さえ複雑で興味深く、えてして人が思うより選択の自由度は低いということだ。