謙虚力
- 作者:松井 住仁
- 発売日: 2019/09/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
はじめに
謙虚な者が勝つというのは,万古不易の法則なのです.
大きな成功を収めるうえで謙虚さが大切なのは,歴史が証明しています.しかし単に相手にへりくだるだけでは競争に負け,損をするばかりです.そこで提案したいのが,「謙虚力」を磨くという考え方です.
「謙虚力」とは僕の造語で,単にへりくだり相手に譲るのではなく,相手を尊重し立てながら謙虚にしなやかに自己主張をする力のことです.
本書では,僕の提唱するこの「謙虚力」の定義と磨き方,実際のビジネスシーンにおける実践方法などを紹介します.
第1章|いつも、最後に勝つのは"謙虚"な者
もはや,成功者がおしなべて謙虚であったことは疑いようがありません.では,具体的にどのように振る舞えば謙虚といえるのでしょうか.
僕が思うに,まず,「真摯に人の意見を聞く」ことこそがその第一条件です.
- 常に人の意見を聞いて,良い意見を取り入れ,自分の判断を修正していけることが,謙虚さ.
第2章|人望を得て成功するカギ「謙虚力」とは?
貪欲になって目の色が変わりイライラと生きるよりも,もっとゆっくりと自然や親しい人たちと過ごす時間を楽しみながら生きるほうが,よっぽどいいはずです.
そのうえで前を向き,自分に合ったスピードや方法で上を目指すというのが正しい選択だと僕は思います.
- 自己主張のバランス感覚の黄金律とでもいうべきものが,7対3.
- 7割は譲っていい.その代わり,決して譲れない3割は守り抜く.
人間は基本的に欲深いものですが,突き詰めれば,自分にとって大切なのは10のうち3つぐらいだと分かるはずです.
これが「謙虚力」の基本です.
- 「強い組織」とは,組織そのものが,つまりは組織を構成する一人ひとりが自律している組織.
- 上司と部下は同じ目的に向かって走るチームのメンバーであり,パートナー.
リーダーがメンバーを目的に沿って動かすために必要なパワーの源泉はなんでしょうか.肩書でしょうか.専門知識でしょうか.
否,一番重要なのは,リーダーに対する信頼感やリーダーの魅力だと思います.この人の言うことは信頼できる,この人にならばついていけるといったものです.
その魅力はどうやってつくられるのか.
一概にはいえませんが,一つ重要なのは,やはり謙虚であるということだと思います.
広い視野を持ち,気配りの達人であること.メンバーの現状を把握し,必要なときに,必要な声掛けができる.そうやって一人ひとりの意識を高め,力量を上げ,その集合体として組織力を高める.そうやって組織を強くするのです.
第3章|"謙虚"なリーダーシップを身につける極意
リーダーを評価している人は,その背中を自発的に見ているわけです.だから言わずとも付いてくる.
評価していない人は真似もしないし,付いてもこない.ここ事例の場合は,まず施設長クラスの人が僕の真似をする.それを見ていた次のクラスの人たちがそれをさらに真似する.そうやって文化が形成されていくわけです.
そうした文化のはぐくみ方がいいと,僕は思います.自然だからです.その人のやっていることに合点がいく,あるいは最初はその意味がわからなくても,その人のことを尊敬していたり,その人のやることは正しいと思っているから真似をする.
- リーダーには,任せる覚悟,度量が必要.
たとえ自分がリーダーで要として働いたとしても,チームメンバーやスタッフを立てるべきなのです.そもそも皆の働き,チーム力があっての成果のはずなのです.
それを公言すれば,メンバーはますますそのリーダーを信頼し,ついてきてくれるようになるはずです.リーダーとしての人徳が必ず上がります.
- 定常期と変革期でその立ち居振る舞いを変えることができるのが,優秀なリーダーの条件.
- 組織には,攻める,いわばアクセル役とブレーキ役が必要で,場合によってこの間を取り持つ調整役も必要になる.
「傾聴力」という言葉があります.リーダーに求められる最重要スキルの一つですが,これなどは,まさに「謙虚力」の表れです.
常に聞く耳を持つことももちろん重要ですが,気配りをして察したうえで,必要に応じて声を掛けることも,リーダーの大切な役目です.
そして傾聴する.質問責めにするのではなく,相手にいかに本音を語ってもらうことができるかが大切なポイントです.
- 謙虚さがむしろ必要なのは,役職の上の人,組織のリーダー層.
- それが組織のためでもあり,また自分のためでもある.
- 力を持てば持つほど謙虚になって,自らを戒めることが大切.
第5章|「謙虚力」を磨けば、人生のあらゆる困難を突破できる
謙虚になるというのはへりくだることではありません.譲れないものは譲れない.そこは主張するし,守る.
しかし,それは全体の3割程度でいい.あとの7割は相手に譲る.その代わり,下手に出るのではなく,「凛としてそこにある」を貫く.堂々と相対する.