説明は速さで決まる
説明は速さで決まる ~ 一瞬で理解される「伝え方」の技術 ~
- 作者:中村 圭
- 発売日: 2019/05/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
はじめに
説明の悩みは「速さ」が解決する
- コピーライターの技術を,説明のときにも使う.
- コピーライターは「短く,わかりやすく伝える.速い説明の専門家」
- 説明が苦手な人ほど,説明が長くなり,時間がかかる:
- 同じことを何度も話し,必要ない・関係ないことまで説明する.
- つまり,伝わるのが遅い説明になる.
- 短さを正しく追求すると,自動的にその説明はわかりやすくなっていく.
- 話をわかりやすく,そして短く伝える「速い説明」のノウハウをまとめたのが本書.
新時代のルールは,「説明は速く伝わるほどいい」なのです.
序章
説明にスピードが求められる時代になった
- 相手の時間を奪わない説明が一番評価される
- 自分が1日に受け取る情報量が数年前よりもはるかに増えている
この短い説明が大事な時代にインストールしてもらいたいのが,「相手の時間を大切にする」という感覚です.
- 相手の時間を思いやると,説明の時間は短くなる.
- 自分に関係ないと思った情報は,即座に遮断するクセができている.
- 「相手に説明を聞いてもらえる前提で話さない.見てもらえる前提で書かない」ことが大事
- 速い説明が大事な時代には「考えていることを整理してズバッと短く説明できる人」が強い
「自分はなにができるのか」「どうしてそれをやっているのか」などを短く,わかりやすく説明する技術が,だれにでも求められる時代だと感じます.
第1章
ターゲット思考:いらない言葉を削り,適切な言葉を探す技術
- まず自分の説明のなかにどれほど無駄があるのかを把握すること
- 「文章を書くこともデザイン」と捉えると,自然と文章のバランスは良くなっていく.
- 見直すことを前提に書くことで,文章はうまくなる.
- 書きたいことを書けるだけ書き,無駄なものを削る.すると,必要最低限の要素で構成された文章ができあがる.
説明は伝える相手がハッキリしていることが多いです.
どれだけ相手のことを考えながら説明を組み立てられるかが,最速で説明を受け取ってもらう鍵になってきます.
- メールやメッセージで使う言葉も,相手に合わせることが基本.
まずは頭のなかから説明するために必要な要素を全部書き出してみる(可視化・客観視).
そして冷静に「いる」「いらない」を判断し,いるものだけ使って文章をつくる.
こうすると短く,無駄のない,必要な情報だけが入った中身の濃い説明ができます.
第2章
最速説明マップ:説明の要素を把握し,最速ルートを作る技術
- 「説明が苦手な人は,自分の説明の中身を把握できていない」:
- たくさんある説明の要素から,どの説明をつないでいけば相手の理解までたどり着けるのかがわかっていない.
- 説明は「細かな説明の塊」だと認識し,説明する内容を「分割」する.
僕が日頃やっていることはシンプルです.
説明に必要な要素を箇条書きで書き出していく.ただそれだけです.(複雑な方法は習慣として定着しない)
- 「こいつの説明は,短いのにわかりやすい」と思わせることが,評価が上がる秘訣.
- 最速で説明する方法:
- 話す内容をすべて「出す」
- 相手や状況に合わせて話す内容を「選ぶ」
- 選んだ内容を「並べる」
プレゼン資料の正しいつくり方
- 「いきなりパワーポイントを開いて,プレゼン資料をつくろうとすると時間がかかる」:
- スライドを一枚つくるごとに,どんな要素を入れようか悩むことになる.だから時間がかかる.
- プレゼン資料をつくるまえに,まずノートやメモ帳などに要素をすべて箇条書きで書き出す.
- その上で必要そうなものだけを残す.説明する順番も伝わりやすいように入れ替えてみたりする.
まず「頭から出す」習慣をつけることで,最終的には,どんどん口から出る言葉や,書く言葉自体が,最速ルートの説明へと変わっていきます.
第3章
透明ルート標識:話の筋道を一瞬で理解してもらう技術
- 自分が頭のなかで組み立てた説明のルートを,相手にも共有してもらう必要がある.
- 「ポイントは3つあります」の問題点:
- 「3つもあるのか.長いな」と思われてしまう可能性がある
- 「これから長い説明をするので受け入れてください」というメッセージとして伝わってしまう
- 「最後まで聞いてもらえる」という前提があれば,この言い回しは有効.
- 「〇〇から〇〇へ」という言い回しなら,説明も短くなり,自分の思考を整理しやすくなる.
第4章
脳内ナビ・ワード:相手を話に引き込んで,最後まで飽きさせない技術
- 相手の興味のありそうなこと,理解できそうなことから話をすることで,グッと説明を聞いてもらえる確率は上がる.
- 他の人にどう言い換えたら伝わりやすいか,どう言えば理解にたどり着くのかを考えておくのも,説明においては非常に役に立つ.
- 相手に合わせて,オーダーメイドで説明する.それが,たとえ話.
- 「数字」を入れると,情報に新規性・具体性が生まれ,人は説明を聞く態勢ができ上がる.
- 自分の体験談を説明に組み込むことで具体性・ストーリー性を持たせ,相手の注意を引くことができる.
第5章
無意識クラクション:ポイントをさりげなく強調して,相手の印象に残す技術
- あえて同じ言葉を「重ねる」ことで,強調したいところを,さりげなく相手にアピールできる:
- 「アイデアは,絞れば絞るほど,強くなる.」
- 「大切な人への言葉は,大切に考えよう.」
- 「想いを重ねたいときは,言葉も重ねよう.」
- 人は問いかけられると,自然とその答えを考える習性を持っている:
- 問いかけをする目的は相手の注意を引くためであって,本当に相手に深く考えさせることではない.
終章
シチュエーション別で見る「説明のコツ」
1. 上司への説明
- 事前準備をしっかりして安心を最大化し,説明に挑むのがポイント.
- 説明の目的は,相手を理解まで導くこと.
2. 部下への説明
- とにかく部下の安心を確保してあげる
- 信頼される上司というのは,うまく自分の失敗談を話せる人が多い.
- 「あの人のために頑張ろう」と思える上司は,少し隙があったほうがいい.
3. 打ち合わせ
- 自分が発言したいことを箇条書きにしながら,説明に臨むのがお勧め.
- なるだけ相手の説明を盛り上げる,相手が気持ちよくしゃべれる,ポジティブな相槌を打つ.
4. プレゼンテーション
- 相手の頭に残るひと言を用意する
短く説明できる人が増えれば,打ち合わせは短くなる.
仕事の時間も短くなる.働き方だって変わる.
短い説明には,そんな大きい力がある.