時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS
時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS
- 作者:シェーン・スノウ
- 発売日: 2016/08/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
はじめに|なぜ、人より早く結果を出せるのか?
「スマートカット」とは,本来時間をとられるべきではないところをスマートに,つまり賢く回避しながら,力を入れるべきところに力を入れて大きな目的を達成する技だ.
- ラテラル・シンキング:
- 水平思考=既成概念にとらわれず,いろいろな角度から問題を解決する手法
- 本書では,人並み以上に優れた人々は,さまざまな分野で,どのようにラテラル・シンキングを駆使して成功をつかんできたのか紹介する.
歴史を振り返ると,労力を無駄に終わらせたくないと腹をくくり,いつ来るかわからないチャンスをじっと待つのではなく,自らの手で運を切り開こうとした人々の成功物語がある.
そこからあぶり出されたパターンを紹介するのが,本書の目的だ.
希望や夢を運任せにする人は実に多いが,誰よりも早く成功する人は,運を自分でコントロールしている(ただし,そういう人は謙遜して,おおっぴらに言うことは少ない).
つまりは,読書の皆さんに伝えたいのは次のようなことだ.
・思わぬ成果を偶然に生み出す能力は意識的に発揮できる
・運は自ら切り開ける
・ルールやしきたりは無視していい
・成功への最良の道はいつも同じではない
第1章|「成功の階段」をハックする
- 人は「ハードルが低い」と感じた場合にだけ,積極的に関わろうとする.
- 「小さな成功を達成すると,次の小さな成功を呼び込む方向に動き出す」
- 軸足を移し,ビジネスモデルや主力製品を切り替えて上向いた企業は,従来の道にとどまり続けた場合と比べて,遥かに大きな成果を上げる傾向にある.
歴史に名を残す成功者たちはありきたりの方法で頂上をめざしていない.
ふだん,僕らは「下積みに耐えろ」とか,「階段を着実に上れ」などと教え込まれてきたが,その教えは間違っていたのだろうか.
勤勉さや運が成功に欠かせないことは確かだが,それだけでは成功にたどり着けないのだろうか.
- 「今ある実績を元手に投資し,さらに大きなリターンを狙う姿勢」こそ,優秀な個人や企業が成功を収めるときの大前提.
- こうした人々や企業は,成功への階段(ラダー)をいかにあざやかに攻略(ハッキング)するかを常に考えている(ラダー・ハッキング).
第2章|メンターの理想と現実
- 歴史を振り返ると,大成功を収めた多くの偉人は良き師,良き助言者に恵まれていることがわかる.
- 何らかの技を体得するには長期間の練習が必要だが,世界一流のプロに練習を見てもらえば,体得までの期間は劇的に短縮する.
- その道で成功を収めた先達からアドバイスを受けると,ひと足早く成功にたどり着きやすい.
AさんとBさんが同じビジネスモデルを研究し,同じビデオを見て,同じメンターから教えを受けたとしよう.
それでもAさんは微妙な極意に気づき,Bさんは見落とすことがある.
雑音の中から,小さくても重要なものを見つけ出す能力があるかないかの違いだ.
米国のノーベル賞作家ソール・ベローの言葉を借りれば,「一流の観察者」とでも言うのだろう.
これこそ誰よりも早く学び取れる人の特徴なのである.
第3章|フィードバックで最適化せよ
- 「自分自身の失敗については,自分以外の原因に結びつけようとする.運のように,自分の力ではどうにもできないようなものに原因を求める.その結果,将来,同じ作業を任されても奮起するモチベーションが削がれる」
- 「たとえ失敗の経験に重要な学びのチャンスがあったとしても,その経験を生かす行動がなければ,せっかくの学びの機会は埋もれたままになる」
- 「自分の成功は,自身の努力や才能のおかげだと考えたがるもの.そう考えれば,自分の努力や行動は自らコントロールできると思い込み,次の任務でも力を発揮しようというモチベーションにつながります.その結果,向上と学びが継続するのです」
達人レベルになると,自分の技能について「なるほど」と思えるフィードバックがあれば,ネガティブでもポジティブでも動揺することなく前向きに取り入れる傾向があり,どれが有益でどれが的外れなフィードバックか,自信を持って選り分ける.
一方,初心者は批判されるとついつい動揺してしまう.失敗を恐れているから,励ましが必要なのだ.
我々は,ネガティブなフィードバックをもらうと,人格を否定されたかのように考える.
大切なのは,「自分自身の人格」と「失敗という行為」を切り離し,失敗の経験を客観的な実験と捉えることだ.これができれば,フィードバックの効果は何倍にもなる.
第4章|プラットフォームの優位性
ニュートンは,周囲から科学者としての研究成果をたたえられた際,(自分は)「巨人の肩の上に乗っている」から成果を出せたと語っている.
多くの偉大な先人らの発見があったからこそ,自分の成果につながったという意味だ.
その「巨人」を現代の言葉で言えば,プラットフォームということになる.道具とか環境と言ってもいい.
プログラミングの世界でこの考え方がおおいに役立っていることは言うまでもないが,ほかにも有効な分野があるはずだ.
- 「世の中にはすでにさまざまなものが用意されている.それを利用すればいい.すでに誰かが一生懸命がんばって作ってくれたのだから.そのうえで,自分なりの成果を上げればいいのだ」
第5章|波を見つけて波に乗れ
「運がいい」という現象は,「タイミングよく絶好の位置に居合わせる」ことだ.
実は,サーファーと同様に,絶好のタイミングで絶好の位置に身を置く能力に長けた人々や企業が存在する.
彼らはこの"ビッグウェーブ"を待つのではなく,自ら探しにいく.
- 「直感とは無意識のパターン認識の結果」
- 現行の事業を守ることばかりに汲々として,新たな実験に二の足を踏む企業は往々にして追い抜かれている.
- 波が来たときに海に入っているためには,先に波間を漂っていられるだけの時間を確保しておくこと.
第6章|スーパーコネクターの作法
- どの世界でも大成功を収めた人物の中には,信じられないほど寛大な人々,つまり「ギバー」が少なからずいる.
- 「与える側になるといっても,とてつもない犠牲を払うわけではない.助け船を出す,相談に乗る,口添えをする,人と人を引き合わせるなど,誰かのために一肌脱ぐ程度のことでいい」
- 「自分の成功のためだけにやっているなら,必ず行き詰まる」
- 助けを求めるよりも,「与える」という行為のほうが,いい関係を築くきっかけになりやすいし,はるかに強力.
- ネットワークができたら,まず相手の役に立つことを考える.
- ひたすらギブを続けてファンをつくり,信頼に満ちた絆をつくる.
第7章|成功の連鎖をつくる
- 仕事上のちょっとした成果でも,大きな業績を上げたときと心理的な満足感はほとんど変わらないことが判明した.
- 勢いがあるように認識されるだけで,実際に勢いがあるのとほぼ同じ効果を持つ.
- 「成功したら次に打つ手」を,成功する前に用意する.
- ひとつの成功で勢いをつけ,成功の連鎖を目指す.
第8章|シンプルを極める
シンプル化といえば,ハッカーは生活から不必要なものをなくす習慣がある.本当に大切かどうかで選別するからだ.
イノベーターも余計な飾りはバッサリとそぎ落とす強い意志がある.
- 小さな判断がいくつも重なると,明らかに忍耐力や自制心,さらには独創性まで枯渇しやすくなる.
- 制約があるほうが独創性は発揮しやすい.制約こそアイデア発揮の原動力.
世界でもまれに見る素晴らしい形式の詩といえば俳句だ.これも厳しい制約の中で独創性を発揮しなければならない.
五七五で季語を入れるなど,自分が焦点を当てるべき境界線はすでに引かれている.だからこそ,工夫を凝らし,知恵を絞ることができるのである.
ちっぽけなベンチャーが,世の中をあっと言わせるような斬新なアイデアを生み出すのも同じ理由だ.
限られた資源の中で,徹底的にシンプル化した解決策を追求した結果なのだ.
- 集中力を高めるために,細かいことはルーティン化して判断を省略する.
天才や大統領は,無意味な選択作業を生活から徹底的に排除している.生活をシンプル化し,思索の時間を確保する.
発明家や起業家は「この製品はもっとシンプルにならないか」といつも自問自答している.
そうやってたどり着いた答えは,単なる「良い製品」ではなく,「驚異的な製品」になる.
第9章|10倍思考を実行する
「新しいものやもっといいものを作り出すには,2つの方法があります.
まず変化が小さく,意外性のない改良です.いわば10%の向上です.
これに対して,本当に大きな改良は,何らかの方法で最初から作り上げる必要があります.常識となっている前提を捨て去らなければなりません」