AI分析でわかったトップ5%社員の習慣

はじめに

  • 早く家に帰れる人がすごいのではなく、早く帰っているのに突出した成果を出し続けられる人がすごい。
  • 顕著な成果を出した「5%社員」たちは、優れた働き方を実践しており、そこに再現性の高いルールが存在し一般化できる要素があるはず。
    • サンプル数:「5%社員」とそれ以外の社員約9000名、計1万8000名

社内で評価される人は、自分の意思で選ぶことができる権利を得ます。会社や上司から「自由と責任」を得て複数の選択肢を持つことができるのです。同じ部署で昇進するのか、移動して新たな職種の挑戦をするのか、昇格して自分のやりたいビジネスに携わるのか、といった選択肢が得られやすいのです。

選択肢が複数あれば、「自分のしたいこと」と「自分のできること」を元にして自分で選べるのです。上から言われたから嫌々仕事することが少なくなりますので、我慢労働をする働きアリから脱却できます。


序章|AIで1万8000人分析してわかった、ずば抜けた結果を出す人の五原則

原則1|「5%社員」の98%が「目的」のことだけを考える

「5%社員」に対してアンケートやヒアリングを行い、その結果を4社のAIサービスを使って分析しました。

すると、高い頻度で出現する名詞は「結果」や「目標」でした。そして「達成する」「成し遂げる」「認められる」という動詞が多く使用されていました。

  • 背伸びをしてギリギリ届くような目標を自身で設定した上で、それを達成するための努力を自主的に行い、実際にクリアするのが「5%社員」
  • 仕事では「どこに向かって作業を進めているのか」ということが重要であり、その作業の量だけで褒められるわけではないことを「5%社員」は心得ている。

「5%社員」はそもそも資料作成時間が一般社員よりも20%ほど短かったのです。作り上げた資料の枚数は少なく、パワーポイントの1スライドの中に記載された文字数も少なかったのです。

「5%社員」はパワーポイントの使い方が上手なわけではなく、資料に入れるべきストーリー作りが得意なのです。

どのように相手を説得・共感させて、こちらが望む行動をしてもらうかという戦略を手書きメモで作り込み、最後にシンプルなパワーポイント資料をさっさと作るのです。

正しい目的を理解し、目的に合わせて行動をして、最終的に成果に結びつけるのが「5%社員」の特徴です。

原則2|「5%社員」の87%が「弱み」を見せる

  • 「5%社員」は、「自分がわからないことがある」「まだ学べていないことがある」という前提に立っており、他者から自分が持っていない知見を獲得しようとしている。
  • 「5%社員」は、自分がわからないことに当たった時は、質問をし、わからないところをそのままにはしておかない。
    • 問題に対して真摯に学び、新たな知識を得ようとする。
    • そうすることで、上司からも信頼され、部下からも慕われるようになる。

「5%社員」は自分の弱い部分を見せて決して強い部分によるマウンティングはしません。

調査をしていて印象的だったのは、「5%社員」は、はじめての人と関係を構築するときに、カジュアルな雑談から入り、そこで相手との距離感を縮めた上で、関係を構築するとなったときは、まず自分の弱みをさらけ出していました。

  • 希少価値の高い情報はネットではなく、人に紐付いていることを「5%社員」は知っている。

原則3|「5%社員」の85%が「挑戦」を「実験」と捉える

  • トップ「5%社員」は横の広がりがある幅広い知識と知見をもつことを、95%の一般社員は縦の専門性の追求を望んでいる。
  • 「5%社員」は、変化の激しい中で対応力を高めていくには、1つのスキルや技術に固執することなく、より多様な能力を身に付けていったほうが市場価値が高まると思っている。
  • ひとつの大きな実績を残すことにこだわることなく、複数の職種で多様な経験を積むことが人材としての価値を高める。

原則4|「5%社員」の73%が「意識変革」はしない

意識を変えて行動するのではなく、行動を変えることによって意識が変わるのです。

行動をしてみたら変化が起きたことを自覚し、「行動を起こすことに価値がある」という意識に変わるのです。そうやって行動を継続していくと、行動変容が習慣に変わります。意識せずに行動を変えようとしていくのです。

まず行動を起こして、そのあとに意識が変わることを知っている人は、初動が早く、率先して新たなことに挑戦していきます。

原則5|「5%社員」の68%が常に「ギャップ」から考える

逆算の思考方法は、優秀な人が漏れなくやっている方法です。

まずは目標設定から適切に行う必要はありますが、その設定した目標からどんどんブレイクダウンして「今月やるべきこと」「今週やるべきこと」「今やるべきこと」を明確にしていきます。

自分の能力を把握し、必要な時間や費用などを勘案しながら達成時期を意識することは重要です。


第1章|良かれと思ってやってしまう「95%社員」の行動

  • 95%の一般社員は作業が終わった充実感に満たされ、「5%社員」は成果を残した時の達成感を目指している。
  • 「5%社員」の78%はフィードバックを得ようと自発的に行動している。
  • 成果を出している「5%社員」は、緊急度と重要度の2つの評価軸を持って仕事の優先順位を決めている。
    • 緊急度は低いが重要度が高いことに時間を割いている。
    • 緊急度は低いが重要度が高いものに時間を割り当てられることができるか、というのが成果を出し続ける上でのポイント
  • 本をよく読むのも「5%社員」の特徴:
    • 28社のアンケート:平均2冊/年
    • 5%社員:48冊/年
  • 本質を理解している「5%社員」は、「必要な仕事を短い時間で終わらせたら効率がいい」と捉えている。
  • 「5%社員」の特筆すべき点は、上司やチームメンバー、顧客への連絡の迅速さ。
    • 小さなことでも、すぐに報告の連絡をして、自分の中で閉じることをしない。
    • 返信が早いと、相手は待ち時間がなくなり、とてもスムーズに仕事を進めることができる。
  • 「5%社員」が人脈を広げる理由の63%は情報収集のため。
  • 「デザイン思考」とは、ユーザーの痛みや悩みを理解し、その発生原因を定義して仮説を立て(プロトタイピング)、それを外部のヒアリングを元に解決策を改良していく問題解決の「型」。
    • 「どうやって」解決するかの前に、「なぜ」その問題が発生したのかを追求する。
  • デザイン思考5つのステップ:
    1. 共感:ユーザーに共感する
    2. 問題定義:なぜ?を繰り返し、発生原因にたどり着く
    3. 創造:解決策を発想する
    4. 試作:プロトタイピング可視化して、ヒアリングする
    5. テスト:テストしてさらに改善


第2章|トップ「5%社員」のシンプルな思考と行動

達成感を大切にする

思うように成果が出せずに徒労感と疲労感をもつ一般社員は、それから解放された「土曜の朝」に幸せを感じ、「5%社員」はしっかりと目標を立ててそれを達成した「金曜の夜」に幸せを感じるのが特徴であることがわかりました。

つまり彼らは改善と成長を目指しており、それに向けて仕事をしているという感覚を持っているのです。仕事をすること自体が目的ではなく、その仕事によって生まれた成果を重視しています。


「5%社員」はその多くが尊厳欲求(承認欲求)を超えて自己実現欲求を目指していることがわかりました。つまり主体は自分であり、自分でできることと自分でできないことをしっかりと区分けして、自分でコントロールできる範囲の中でどのように自分が目指す姿に近づいていくかということを考えています。

つまり、自分でコントロールしにくい「相手からの欲求」に依存することなく、自分が成長することを目指しています。相手にどう評価されるかではなく、自分の目指すべき姿にどれぐらい近づいたかが重要なのです。

  • 「5%社員」は、「8割」といった精度の目標値や、作業時間を設定し、意図的に完璧を目指さないようにしている。
    • そのおかげで、どんどん先へ進んで、行動量が増え、結果として成果を残しやすくなる。

今回のトップ「5%社員」に完璧主義者はいませんでした。むしろ彼らは本質を見抜き、要点だけ押さえてズルをするので、100%の情報を集めようともしていませんでした。

再現性を大切にする

人やビジネスの価値は「再現性」で決まります。

成果を残し評価されているトップ「5%社員」には優れたスキルや能力が伴っています。しかし、そのスキルや能力を使って常に成果を出すことが重要であり、スキルを持っていること自体には意味がありません。例えば、プログラミング言語を知っていても、それを使って開発してこそ価値があるのです。

「5%社員」は、自身がもつスキルや能力を遺憾なく発揮し、社内外でインパクトを与えています。彼らは社内異動しても、しばらくしたら突出した成果を残しますし、社外に転職してもインパクトを与えます。外部環境や条件などの影響度を抑え、能力を発揮する考え方と行動を身につけているのです。

スキルや能力があるということは、「特定のことができる」と自己発信し、みんなに認められている状態にあります。さらにいうと、「特定のことをできるようになる」という状態は、「特定のことを再現できる」という状態であることを指します。

「上場企業の会社」「マネージャー」というのはただの飾りで、本質的な価値はその人が再現性をもって何を実現できるのかということなのです。

価値のある会社とは、再現性のあるビジネスモデルを作り、時代の変化に合わせて儲け方を変えることができる会社です。

なぜ上手くいったのか、どうして上手くいかなかったのかを冷静に分析し、その仕組みやプロセスを徹底的に掘り下げ、エッセンスを抽出して、その先に活かせると、企業は発展し続けます。

本質的な価値とは、なぜそれがうまくいったのか、その構造やプロセスを解き明かし再現できることなのです。


「5%社員」は、常にもっと良い方法はないか模索して、日々進化させています。「5%社員」は高い評価をもらっているにもかかわらず、現状に満足しません。

再現性が高い仕事をするのは、結構難しいことです。だからこそ、安定して何度も成功できる人は信頼されます。安定して成功し続けながら、さらなる成長を目指しているのが「5%社員」なのです。

止まって考える時間を設けている

過ぎ去った時間を振り返れば、良かった点を評価し、そこからどんな結果が生まれてきたかを明らかにすることができます。また、同じ過ちを避けるために、過去の事象から学びとることができます。

「5%社員」は、自分の創意工夫によって目的を達成し、それが承認されています。ですから、自分の活動が達成されたのかどうかを確認するためにこの内省が必要なのです。

他人からの承認ではなく、自分の価値観で自分を承認するのです。二度と同じ間違いをしないように振り返って反省し、次の行動に活かしていました。「5%社員」は臆病です。だからこそ、しっかり「失敗しない対策」をします。

時間の使い方、人との付き合い方、アイディアの発想の仕方──こうしたところに、「5%社員」の特徴は表れています。

経験学習をする

行動力がある人は、何事にも好奇心を持ち、新しいことにも積極的にチャレンジします。新しいことに躊躇せず、まずはやってみるという精神がある人は、行動力が高いと評価されるでしょう。

もちろん、行動した結果、成功を収めているなら、より高い評価が得られるでしょう。何事にも恐れず挑戦できる行動力があり、かつ挑戦した分野で成功を収められる目標達成能力があれば、より高い評価が得られます。

  • 周囲から頼りにされ、上司から信頼されるのが「5%社員」であり、その裏付けになっているのが、臨機応変な対応力。

完成度が20%で意見を求める

「5%社員」の回答で最も印象的だったのは「差戻し」です。せっかく時間をかけて作ったのに作り直しを命じられるのが無駄だと認識しているのです。この「差戻し」は、相手との認識違いや齟齬によって発生することを「5%社員」は理解していました。

細部を詰める前に制作物を見せておくことは重要です。「5%社員」は自分自身の振り返り時間を設け、さらに相手にフィードバックを得るタイミングも計画に入れていました。

顧客や上司にフィードバックをもらったら、それをもとに修正して、相手のイメージと自分のイメージが重なるように作業を続けて最終成果物を完成させます。

最終成果物に対して「自分の意見が作品に反映された」と感じてもらえば、それは「自分の作品」という意識が生まれます。顧客や上司がそのような自分ごと化してくれれば、承認されやすく、一体感も生まれてよい関係が構築できます。

アウトプットする習慣を持っている

  • どんなに思慮深く、自分の考えを持っていても「アウトプット」がないと、消極的で何も考えていない人だと勘違いされることもある。
  • 良質なアウトプットを常に出し続ける人は、職場や業界で評価され、社内外で市場価値が高まる。

笑顔の連鎖を作る

集中して作業をしているときは、思わず眉間にシワが寄ったり、口角が下がって不機嫌そうに見えたり、肩に力が入って猫背になったりする傾向にあります。そのときの表情は、自分が思っている以上に寄せ付けない雰囲気になってしまいます。

単に集中しているだけなのに、「あの人には声をかけづらい」「あの人は気難しそうで一緒に仕事するのは避けたい」「あの先輩は気軽に質問しづらい」と思われてしまって、チームで協力関係を作っていく上で障壁になります。

「5%社員」は「笑顔はこの人と一緒に仕事をしたいと思ってもらうための重要なツールなのです」と印象的な言葉を残してくれました。

笑顔を心がけることはすぐにでも始められます。笑顔で仕事に臨み、良い印象をもってもらうことで仕事がスムーズに進められることが実感できます。相手を笑わせようとする必要はありません。それよりも「自分が笑顔でいること」が大切です。自分が笑顔になれば、それが伝播して相手も笑顔になります。

結果は準備で決まることを理解している

  • 仕事ができる人とは、自分がやるべき仕事が何かを「漏れなく」「事前に」掴んでいるもの。
    • 例えば今日からやるべき事項は「前日」までにそのチェックを終えている。
  • 朝に集中力を高めて、午後は無理をせず少しずつ調子を上げていく、これが医学的には「最も仕事の効率の上がる行動」


第3章|トップ「5%社員」の強いチームをつくる発言

「今ちょっといい?」

  • 「5%社員」は、相手の様子をうかがって少し余裕があるタイミングで「今ちょっといい?」と声をかけている。
    • 笑顔でコミュニケーションを取り、相手の発言を笑顔で大きく頷いて聞いている。
    • しばらく連絡をとっていない場合でも、「あなたの状況を確認したい」と相手に興味・関心を持っていることを表現してカジュアルに声をかければ、喜ばれるもの。
  • 組織内で円滑なコミュニケーションを取るためには、特段の用がなくても同僚に話しかけて相手に関心を持ち、良好な人間関係を構築する必要がある。

「そうかもしれない、しかし私はこう思う」

会社という組織において、個々の社員が独力で完成させることができる仕事はむしろ限られています。従って周囲の協力をどれだけ得ることができるかも、仕事ができる人物かどうかを見定める上で重要なバロメーターとなります。つまり、優秀な人物の共通的な特徴は、他者への協力の仰ぎ方がうまいということです。

突出した結果を出す「5%社員」は、一般社員が持ちえないほどのしっかりした信念と価値観を持っています。「5%社員」が一般社員と異なるのは、自分に対する自信と強い信念があるからです。これと決めたらブレずに突っ走ります。そこが一般社員と最も異なる点です。

「いいね」「そうだね」「さすがだね」

今回の調査で「5%社員」が感謝を発する頻度は、一般社員の3.2倍であることがわかりました。

「5%社員」は、「ありがとう」という言葉を自然と周囲のメンバーに提供し続けています。特にトップ5%の管理職は、一般の管理職よりも部下を4倍以上ほめています。承認や感謝、労いの言葉が多いのです。


第4章|トップ「5%社員」のすぐやる習慣

席にいない、動き回る

良好な信頼関係を築くには、先に相手に何かやってあげること(Give)が重要です。そして、困ったときにその相手から支援を得る(Get)のです。

ですから「5%社員」は一生懸命に他人をサポートします。これは、返報性の原理で、相手が何かしてくれると、お返しに何かしたくなるという心理効果です。

一方的にお願いするだけでなく、Give & Getでスマートに関係を構築していきます。社内では、自分の得意な仕事を率先して引き受ける行動も多々見られました。

新たな経験を好む

「5%社員」は見えない不安と戦わないために、金曜日のうちにタスクを明確にして、行動を修正する準備をしているのです。新たな挑戦が好きな「5%社員」は、金曜日に改善タスクを出した時点でワクワクしています。そして、それを抽出しても、まだ行動には移しません。改善タスクを出すまでで止めて、月曜から実際の改善行動をするのです。

これはまさに「ツァイガルニク効果」です。次の行動に期待感を持っている状態で週末に突入しています。そして月曜からその続きができると認識させて、月曜からワクワクしながら出社するのです。

すぐにメモを取る

  • 「5%社員」は、インプットの習慣で情報をつかみ、加工・編集し、新たな情報をアウトプットすることで価値を発揮する。
    • 集めた情報を俯瞰的に眺め、気づいたことをアウトプットしようとする。


第5章|今日からできるトップ「5%社員」のルーティン 

  • 「自分で決める」、そして「自分で選ぶ」という行為が自発的に行動する源泉であり、自分の幸福度を高める。
    • 自分が必要だと思うことを自分で見つけ出し、自分の判断でやってみることが内発的動機になり、自分のやる気スイッチにつながる。
  • 仕事のロールモデル・師匠としてのマスターメンターを決め、じっくり観察して真似することが成長への近道になる。
  • 「5%社員」は内省によって、自分なりの判断基準や、「こういう考え方でいいんだ」という自信を作り出している。