THINK SIMPLY|「考えすぎない」人の考え方
はじめに
私たち人間が他の生物と比べて特に優れている能力といえばなんでしょうか?それは,「考える力」です.
「人間は考える葦である」という言葉のとおり,ちゃんと考えるからこそ人間なのです.
しかし,考えることには弱点もあります.
それは,考えすぎてしまうことです.
- 「考えすぎないほうが,行動力や幸福感が高まり,仕事や人生にいい影響がある」
CHAPTER1|考えすぎる理由・考えすぎない方法
そもそも、世界は不安でできている
- なにかを怖いと思う気持ちも,何かをしたいという欲求も,すべては不安から起きるものだと考えられている.
- 「不安にならないようにしよう」ではなく,「不安とうまく付き合っていこう」と考えてみる.
- この本では,この「不安」という心の機能とうまく折り合いをつけて,上手に日常で生かしていく方法について紹介していく.
心配事の9割は起こらない
- 人間にとって「適度な不安」は重要.ものごとに注意が向き,「危機回避」や「先回り」につながるため.
そう.人は多くの場合,起きた問題自体に対して悩んでいるのではありません.
もしもこうなったらどうしたらいいのか? ...でも,こんなことが起きたら? もしもうまくいかなかったら?
と,まだ起きていない未来について考え続けているのです.
- ペンシルベニア大学のボルコヴェックらの研究結果:
- 「心配事の79%は実際には起こらず,16%の出来事は事前に準備を起こしていれば対処可能」
- ほとんどのことは,「適切に準備をしていれば,いざそうなっても大丈夫」なこと.
今抱えている不安は、来年の今にはほぼ確実に忘れている
- ちょっとした悩みに費やしている時間は,将来的にまったくのムダになる可能性が非常に高い.
- 忘れるとは,過去のいらない情報をさっさと処理し,「現在の新しい情報」に対応していくための能力でもある.
「今この瞬間」に意識がないとき脳は不安を呼び込んでしまう
- 目の前のことに集中していないときには,幸せを感じづらい.集中しているときには幸せを感じやすい.
- 「何かに熱中しているときには他のことを考えられないから」
- 手をつけない限りやる気など起きない,集中などできないというのが今の脳科学でわかっているやる気のメカニズム.
- とすると,集中するには「イヤだなぁ」と思う時間を減らし,さっさと作業に移ってしまうことに尽きる.
- 優先順位の高い案件を放置してしまうと,結局何をしていてもなかなか集中できない.
じっくり腰をすえて考えるより、ぼーっとするほうが「考える力」は高くなる
- 「脳は忙しくしているときよりも,何もせずぼーっとしているときのほうが,2倍のエネルギーを使っている」
- 根を詰めて考えるのではなく,いったん離れてみてぼーっとする時間をつくる.
- 人間の集中力は30分しか続かない.続けて同じことをしていると,どんどんミスが増えていく.同じことを続けると,脳はすぐに飽きる.
CHAPTER3|不安から「冷静」へ
なぜ、ニュースでは悪い話ばかり流れるのか?
- ネガティブな情報にほど注意が向き,脳が活性化されやすい.
- 報道する側・ニュースをつくる側からすると,反応が大きいほうが収益にもつながるため,意図的に人の反応の集まりやすい情報を大きく扱う.
CHAPTER4|最高に集中する
まわりがざわついている環境のほうが生産性は高まる
- 脳は新しい刺激を好む.
- 反対のことを言うと,同じ空間,同じ作業では脳はすぐに疲れてしまう.
集中力を持続させるには作業とは「関係ない動作」をするといい
- 脳は「無意識下」では複数のことを並行して処理するのが得意.
- 意識している状態でのマルチタスクは苦手で,極端に集中力が落ちてしまう.
- 人は一つのことに長時間は集中できないようになっている.
- 休憩を挟んだり,ぼーっとして無意識の時間をつくったり,そうしてエネルギーを1ヶ所に集中させない必要がある.
- 根を詰めてじっくり考えるよりも,ほどほどに考えるほうがよい.
思考の効率化のコツは「自分好みの人」のマネをすること
- 趣味が合う人,好感をもっている人のマネをしたほうが身が入る.
- マネをするとは,表現を変えるとものごとの基本情報や勘所をインストールすること.
- 「優秀な人ほど自分の好みに似た人を素早く見つけ,その意見を参考にしてさっと決断する」:
- 迷ったときにはそうした頼れる人の話を聞くことで決断を早め,次々と積極的に行動できる.
1日10秒、呼吸に意識を向ける
現代人はPCやスマホなどの画面をのぞく時間が長くなり,よほどケアをしていない限り,猫背や内巻き肩になっていると言われます.
そのような姿勢が続くと身体が縮まり,内臓が圧迫されてしまうのです.その結果,呼吸も浅くなり,自律神経の乱れなどの体調不良を起こしていると指摘する専門家もいます.
1日ほんの少しの時間でも呼吸に目を向けることは,そうして浅くなっている呼吸の改善,意識改革や気分転換にもつながってきます.
ぼーっとしているとき脳は記憶したことを復習してくれる
- 休むことで,起きた出来事を脳が自動的に処理する.
- 勉強や仕事では小休止を挟んだほうが定着しやすくなり,情報処理が効率的になる.
- 「分散効果」という理論があり,何かを勉強するときには連続で覚え続けるよりも,勉強してからある程度時間を置いてから復習をしたほうが効率がいい.
CHAPTER5|態度だけはポジティブであるべき理由
75年間の追跡研究でわかった幸福と健康を高める一つの方法
- 人間の幸福度,健康と直接的に関係があったのは人間関係だったという結果になった.
- 友人の人数は関係なく,たった一人でも心から信頼できる人がいるかどうかが重要だということがわかった.
笑顔のストレス抑制効果と感情を変える力
- 近年の脳科学では,感情は思考(考え方)よりも,身体の動きなど外的な要因から大きな影響を受けることがわかっている.
- つまり,「ポジティブな態度」を習慣化することで,思考や感情をポジティブな方向に持っていくことができる.
ネガティブな態度がなぜいけないのか?科学的な理由
- 「否定的な人と過ごす時間が長いほど,同じような考えをするようになる」
- 「人は,他人のネガティブな言動,心の状態に影響を受け,無意識のうちにマネしてしまう」
- 人はそもそもネガティブなものに目がいきやすいという性質を持っているため,ポジティブなものとネガティブなものがあったら,ネガティブなものに意識が向いてしまう.
ポジティブな言葉は苦しみや痛みをやわらげる
- 自己評価が高い人ほど落ち込みにくい.
- 実際の能力は差し置いて「自分はできる」と楽観的な人のほうがものごとをよく考えられる.
人と信頼関係を築きやすいのは観察力が高い人
- 知力の高い人は観察力が優れているので人を見抜く能力が高いこと,またその力によって信頼できる人を選んでいるので,人を疑う必要がないのではと報告されている.
- 信頼関係をつくるには,本質的には相手を理解する態度が重要になってくる.
- 相手の考え,行動原理を深いレベルで理解できると,「違っていてもいい」ということに気づける.
CHAPTER6|脳、体、心のつながり
人はじっとしているほど疲れを感じるようになる
- 「何もしないでじっとしている」のは心身にとってよくない.
- 筋肉が硬直し,血流も悪くなり,結果的に脳も疲労してしまう.
- 脳や心身の疲労回復には,血を巡らせることが重要.
- その意味では,身体の縮こまりを解消するストレッチは効果的.
「病は気から」の科学的根拠
- 人のために利他的な行動をしているときは,不快な痛みを感じなくなる.
- 「見返りを求めず,ただその人のために行動をしている」状態では,痛みを感じない.
- 「病は気から」と言うが,そのとおり精神がどの方向に向いているかで体調やその感じ方は大きく変わってくる.
CHAPTER7|リセット&GO!
コーヒーを飲むよりも階段をのぼろう
- 働くうえでの即効性と効果の大きさでいえば,「物理的にちょっと動く」のが効果的.
- 休憩がてら職場や自宅のまわりを早歩きで散歩する.
- 特に考えごとをしているときには「歩きながら」「動きながら」はより脳が活性化しやすくなる.
- 作業のモチベーション,効率を上げたければ「ちょっと運動」が最適.
とりあえず森へ行け
- 「週に120分以上自然とふれた人は心身ともに健康な傾向があった」
日常ではついついそういう息抜きの時間を忘れてしまいますから,あ〜なんか疲れたなぁ,頭が回らないなぁと思ったら,とりあえず自然のある場所へ.
突発的にでもいいので,目的もなく自然とふれあいに行くのもいいと思います.
また,晴れた日の青空を眺めるだけでもリラックス効果があるという研究もあるので,ぜひ試してみてください.