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Computer Scienceや読書のメモ

ソフトバンクで占う2025年の世界

序章|全産業に大再編を巻き起こす「孫正義大戦略

  • 「問題は『大幅減益』と『WeWork問題』」であると定義
  • 現時点においては,ソフトバンクグループの「近未来を知る」ことが,不確実な未来を洞察し,自らの業界や企業の戦略を練り直していくことに最も貢献するのではないか.

第1章|孫正義ソフトバンクの研究

  • ソフトバンクグループが,世界から注目される理由:
    • 通信の事業会社から,「戦略的持株会社」という投資会社へと進化を遂げた点.
    • 孫社長の英語プレゼンテーションが,常に明確でわかりやすく,インパクトがある点.
  • ソフトバンクグループの5ファクターメソッド:
    • ミッション:「情報革命で人々を幸せに」
    • ビジョン:「世界中の人々から最も必要とされる企業グループ」
    • バリュー:「努力って,楽しい」
    • 戦略:「AI群戦略」
  • 孫社長は,大きな変化が起きる前にそれを予測し,そこから逆算して行動を開始する点が特筆に値する.
  • ソフトバンクの「群戦略」:
    • 新しいスターに投資をして,群戦略で成長させ,成熟して低成長になったら売却するという考え方が基本にある. www.softbank.jp
  • 「我々の成長力・競争力の源泉は,時代の変化を先読みし,高い目標を定め,そこから逆算して何をすべきかを考え,必要な戦略を打っていく『逆算の経営』にある」
  • なぜヤフーをソフトバンクの子会社にしたのか?
    • 「新領域(非通信)の強化」
    • 「戦略・サービス・リソースの統合」
    • 「ヤフーの成長を加速,シナジーを最大化」
  • ビジネスにおけるAIの定義:
    • 「AI=推論」だとして,AIが需要を予測し,供給を最適化する,つまりAIは需要と供給をマッチングしてマネタイズするものだと明確に定義した.
    • ウーバーは,人の集まりそうな場所をAIで予測し,あらかじめクルマを用意しておいて,オーダーが来たらすぐに配車し,マネタイズに成功している.

ソフトバンクグループは何か1つのものをつくり出すわけでも,1つの特定のサービスを提供するわけでも,1つのビジネスモデルの会社でもなく,

「世界中に生まれてくる最も優れたテクノロジー,最も優れたビジネスモデルをもつ仲間と一緒に同志としてやっていきたい」


第2章|「米中に次ぐ第三極」を目指す戦いの始まり

  • ヤフーとLINEの経営統合の背景にあるもの:
    • 「米中を中心とした高い知名度資本力および技術力を有するグローバルインターネット企業との競争が激しさを増す」という強い危機感.
    • 労働人口の減少,生産性の改善,自然災害への対応といった「テクノロジーで解決できる日本の社会課題がまだまだある」として,大きな志をもって「日本に住む人々に最高のユーザー体験を提供し社会課題を解決していく」
  • AIという基軸: AIが,スマートシティ,モビリティ,防災,働き方など中長期的に投資を行っていく分野をも結び付けて,ユーザー基盤に対して総合的にサービスを提供する基軸となり,最高のユーザー体験や新しい価値を創り出していくということを目論んでいる.
  • ヤフーとLINEの組み合わせによるインパクト:
    • 優れた顧客基盤と顧客接点(ヤフー: 月間ユーザ6700万人,LINE: 月間ユーザ8200万人)
    • その優れた顧客接点をもとに,各種の金融サービス,EC小売り,さらには旅行・通信・電力・モビリティへと誘導する巨大なプラットフォームが形成される.

第3章|10兆円ファンドと「AI群戦略」

  • 情報革命のプラットフォームとして,どんどん増えて「群」を構成していく,というのが群戦略. f:id:tom0930:20200225013301j:plain
  • 群戦略のポイントの1つ目が,自己増殖と自己進化だとしたら,2つ目のポイントは,ナンバーワン主義:
    • 群を構成するグループ会社はそれぞれの分野のナンバーワンでなくてはならないと孫社長は言う.
    • 競争力が低い,それぞれの分野で5位や10位の企業を集めてもグループとしての競争力は高まらず,それは群戦略とは呼ばないということ.
  • 群戦略のポイントの3つ目は,集中戦略との違い:
    • 親会社が自分たちですべてを管理しようとするのが集中戦略
    • 一方,群戦略では,その企業を支配することは考えず,それぞれの企業の自己増殖,自己進化に任せる.
    • ナンバーワン企業とはいえ,ベンチャーであるから,1社に集中投資するよりも,分散投資するほうがリスクが低くなる.
  • ソフトバンク・ビジョン・ファンド:
    • 始動は2017年5月
    • 圧倒的な世界ナンバーワン規模のベンチャーファンド
      • 1社当たり平均1000億円を投資
    • 投資先ベンチャーは,ユニコーンと呼ばれる時価評価額10億ドル(約1000億円)以上の企業が中心.
      • 少なからず成長して成功が見えてきているユニコーン企業に投資することで,後発者利益を狙っている.
  • ソフトバンクグループは,「WeWorkがデザインする新たなオフィスで部署をまたいだオープンイノベーションの創出を目指すほか,全国にあるWeWorkの拠点を最大限に活用して,場所や空間,コミュニティーに縛られない,よりイノベーティブでクリエーティブな働き方に取り組んでいきます」としている.
  • ソフトバンク・ビジョン・ファンドが特にユニコーン企業を対象とするファンド事業であることから,投資において「全勝」となることは不可能であり,今後もソフトバンクグループの業績は大きく上下する可能性がある.

第5章|ソフトバンクグループの「産業戦略」

①3つの産業を中核とした産業政策の未来

  • ソフトバンクグループの産業戦略は,「ニューインダストリー」=「モビリティ×通信×エネルギー」.
    • モビリティ,通信,エネルギーの3つの産業が,ソフトバンクグループの産業戦略における中核産業.
  • AI群戦略は「AI×様々な産業」であり,あらゆる産業がその対象となる.

②通信プラットフォーマー

  • 5Gの特徴:
    • 「超高速」「大容量」「超低遅延」「多数同時接続」「高信頼」
    • 4Gと比べて,「20倍の速さ」「10分の1の遅延」「10倍の接続可能数」をもつ.
    • ユーザの体感速度は,4Gの100倍にもなると言われている.
  • ヤフーがそうであったように,海外で投資した企業と日本で合弁企業などを立ち上げて,海外の先進的なテクノロジーやビジネスモデルを日本に持ち込み,ゼロから事業を始めるということを,ソフトバンクはこれまでに幾度となくやってきた.

交通機関プラットフォーマー

  • シェアリングとは:
    • モノやサービスを共有する仕組みであり,P2Pで行われることが多いのが特徴.
    • 取引の際には,インターネット上のプラットフォームを活用するが,その取引を成立させるには,SNSの評価システムが欠かせない.
      • SNS上に利用者からのレビューなどによる「信用」が蓄積され,これをもとに取引が成立するから.
    • SNS上のレーティングやレビューシステムを通じて新しい信用構造が生まれているという点が,極めて重要なポイント.
    • 従来の「モノを所有する」世界では,クルマの利用者はほぼ所有者に限られるため,稼働率も限定的であった.
    • 一方,「モノをシェアする」世界では,利用者は不特定多数なため,稼働率が向上する.
  • 自動運転の実用化がスピードアップしている理由:
    1. ディープラーニング(深層学習)の進化」
    2. 「センサー技術の進化」
    3. 「AI用半導体の進化」
  • NVIDIA:
    • GPUを1999年に発明し,AIのディープラーニングへ初めて利用した.
    • もともとグラフィック処理技術に優れていたが,その技術がディープラーニングに必要な並列演算・行列演算を処理する技術と共通していた.
    • 「製品が優れている→有力プレイヤーが使用する→最先端分野を担う→プラットフォームとなる」という好循環サイクルをつくり出している.

④エネルギープラットフォーマー

  • ソフトバンクグループは,情報,モビリティ,エネルギーの3分野に特にこだわりを持っている.
    • この3分野は切っても切れないほど強い関係がある

第6章|GAFA✕BATHと比較分析する

  • 分析することの本質は比較すること:
    • 競合他社と比較することで,分析していきたい対象企業の強みや弱み,その企業らしさや特徴などがより明確になってくる.
  • ソフトバンクグループは,米中のメガテクノロジー企業に匹敵するようなグローバルなプラットフォームやエコシステムは,まだ構築できていない.
  • テクノロジーにどんな特長を掛け合わせているか:
  • ミッションの対象:
    • 孫社長は「社会的価値」を生み出すこと
    • ベゾス氏は徹底して「顧客」に
    • ジョブズ氏は「新たなライフスタイル」を提示すること
  • 孫社長は自分でつくることよりも事業を拡大することにこだわりがあり,投資をして投資先の製品やテクノロジー,ビジネスモデルをソフトバンクグループに導入すればいいと考えている.
  • 比較分析から見えてくるソフトバンクグループの特長:
    • ミッションは社会的価値追求型であり,No.1であることに強いこだわりをもっている.
    • AI群戦略においては,投資先へのマジョリティー出資にはこだわりを持っていない
    • 子会社のソフトバンクは,強力な営業力と実行力をもっており,タイムマシン経営により,海外投資先の事業を早期のうちに国内で事業化することに長けている.
    • 主には「投資会社×事業会社×テクノロジー会社×ファイナンス会社」という4つの性格を有している.

最終章|シナリオ分析で探るソフトバンクグループの近未来

  • ソフトバンクグループでは,ウーバーやディディなどのライドシェア企業に多大な投資を行っていることから,テクノロジーのなかでも,特に自動運転技術の進化や社会実装のスピードに対して,サステナビリティやシェアリングの価値観の変化が,同企業群の時価総額を動かす大きな要因になると分析する.
  • 本書においては,「テクノロジーの進捗スピード×経済成長の動向」の2軸をソフトバンクグループの近未来シナリオ分析の中核に据える:
    • テクノロジー:AI・IoT・ビッグデータ・自動化・ロボティクス・通信5Gなどが重要となる.
    • 経済成長の動向:米国の景気後退,ITバブルの発生や崩壊などが重要.

スマホでつながり,ペイメントでつながり,情報でつながり,データでつながり,

最終的には定額のサブスクリプションですべてが使えるようになるところまで,プラットフォームとエコシステムを直接的に構築しようとしているというのが,

孫社長が描くソフトバンクグループの未来ではないかと予想しています.

  • ソフトバンクグループはあくまでも戦略的持株会社であり,その傘下,日本で言うとソフトバンクや,その下のZホールディングスが新しい事業化を担って,プラットフォームやエコシステムを実際に構築していくことになる.
  • 日本は社会問題先進国:
    • 地球環境問題も含めて,これから他の先進国も対峙していかなければならない大きな社会問題に先行して立ち向かっていくのが日本.
    • そして,その先導役となり得る企業こそが,ソフトバンクグループである.
    • 日本から働き方・暮らし方・生き方の新たな価値観を発信していくためにも,ソフトバンクグループには日本の活路があると確信している.

おわりに

  • 「AIの民主化」:
    • 最先端テクノロジーを誇示するイノベーター企業や米中メガテック企業だけがAIの恩恵を受けてきた中で,より多くの人や組織がAIを利活用できるようになること.