ソフトバンクで占う2025年の世界
ソフトバンクで占う2025年の世界 全産業に大再編を巻き起こす「孫正義の大戦略」 (PHPビジネス新書)
- 作者:田中 道昭
- 発売日: 2019/12/14
- メディア: 新書
序章|全産業に大再編を巻き起こす「孫正義の大戦略」
- 「問題は『大幅減益』と『WeWork問題』」であると定義
- 現時点においては,ソフトバンクグループの「近未来を知る」ことが,不確実な未来を洞察し,自らの業界や企業の戦略を練り直していくことに最も貢献するのではないか.
第1章|孫正義とソフトバンクの研究
- ソフトバンクグループが,世界から注目される理由:
- ソフトバンクグループの5ファクターメソッド:
- ミッション:「情報革命で人々を幸せに」
- ビジョン:「世界中の人々から最も必要とされる企業グループ」
- バリュー:「努力って,楽しい」
- 戦略:「AI群戦略」
- 孫社長は,大きな変化が起きる前にそれを予測し,そこから逆算して行動を開始する点が特筆に値する.
- ソフトバンクの「群戦略」:
- 新しいスターに投資をして,群戦略で成長させ,成熟して低成長になったら売却するという考え方が基本にある. www.softbank.jp
- 「我々の成長力・競争力の源泉は,時代の変化を先読みし,高い目標を定め,そこから逆算して何をすべきかを考え,必要な戦略を打っていく『逆算の経営』にある」
- なぜヤフーをソフトバンクの子会社にしたのか?
- 「新領域(非通信)の強化」
- 「戦略・サービス・リソースの統合」
- 「ヤフーの成長を加速,シナジーを最大化」
- ビジネスにおけるAIの定義:
- 「AI=推論」だとして,AIが需要を予測し,供給を最適化する,つまりAIは需要と供給をマッチングしてマネタイズするものだと明確に定義した.
- ウーバーは,人の集まりそうな場所をAIで予測し,あらかじめクルマを用意しておいて,オーダーが来たらすぐに配車し,マネタイズに成功している.
ソフトバンクグループは何か1つのものをつくり出すわけでも,1つの特定のサービスを提供するわけでも,1つのビジネスモデルの会社でもなく,
第2章|「米中に次ぐ第三極」を目指す戦いの始まり
- ヤフーとLINEの経営統合の背景にあるもの:
- AIという基軸: AIが,スマートシティ,モビリティ,防災,働き方など中長期的に投資を行っていく分野をも結び付けて,ユーザー基盤に対して総合的にサービスを提供する基軸となり,最高のユーザー体験や新しい価値を創り出していくということを目論んでいる.
- ヤフーとLINEの組み合わせによるインパクト:
- 優れた顧客基盤と顧客接点(ヤフー: 月間ユーザ6700万人,LINE: 月間ユーザ8200万人)
- その優れた顧客接点をもとに,各種の金融サービス,EC小売り,さらには旅行・通信・電力・モビリティへと誘導する巨大なプラットフォームが形成される.
第3章|10兆円ファンドと「AI群戦略」
- 情報革命のプラットフォームとして,どんどん増えて「群」を構成していく,というのが群戦略.
- 群戦略のポイントの1つ目が,自己増殖と自己進化だとしたら,2つ目のポイントは,ナンバーワン主義:
- 群を構成するグループ会社はそれぞれの分野のナンバーワンでなくてはならないと孫社長は言う.
- 競争力が低い,それぞれの分野で5位や10位の企業を集めてもグループとしての競争力は高まらず,それは群戦略とは呼ばないということ.
- 群戦略のポイントの3つ目は,集中戦略との違い:
- ソフトバンク・ビジョン・ファンド:
- ソフトバンクグループは,「WeWorkがデザインする新たなオフィスで部署をまたいだオープンイノベーションの創出を目指すほか,全国にあるWeWorkの拠点を最大限に活用して,場所や空間,コミュニティーに縛られない,よりイノベーティブでクリエーティブな働き方に取り組んでいきます」としている.
- ソフトバンク・ビジョン・ファンドが特にユニコーン企業を対象とするファンド事業であることから,投資において「全勝」となることは不可能であり,今後もソフトバンクグループの業績は大きく上下する可能性がある.
第5章|ソフトバンクグループの「産業戦略」
①3つの産業を中核とした産業政策の未来
- ソフトバンクグループの産業戦略は,「ニューインダストリー」=「モビリティ×通信×エネルギー」.
- モビリティ,通信,エネルギーの3つの産業が,ソフトバンクグループの産業戦略における中核産業.
- AI群戦略は「AI×様々な産業」であり,あらゆる産業がその対象となる.
②通信プラットフォーマー
- 5Gの特徴:
- 「超高速」「大容量」「超低遅延」「多数同時接続」「高信頼」
- 4Gと比べて,「20倍の速さ」「10分の1の遅延」「10倍の接続可能数」をもつ.
- ユーザの体感速度は,4Gの100倍にもなると言われている.
- ヤフーがそうであったように,海外で投資した企業と日本で合弁企業などを立ち上げて,海外の先進的なテクノロジーやビジネスモデルを日本に持ち込み,ゼロから事業を始めるということを,ソフトバンクはこれまでに幾度となくやってきた.
③交通機関プラットフォーマー
- シェアリングとは:
- 自動運転の実用化がスピードアップしている理由:
- NVIDIA:
④エネルギープラットフォーマー
- ソフトバンクグループは,情報,モビリティ,エネルギーの3分野に特にこだわりを持っている.
- この3分野は切っても切れないほど強い関係がある
第6章|GAFA✕BATHと比較分析する
- 分析することの本質は比較すること:
- 競合他社と比較することで,分析していきたい対象企業の強みや弱み,その企業らしさや特徴などがより明確になってくる.
- ソフトバンクグループは,米中のメガテクノロジー企業に匹敵するようなグローバルなプラットフォームやエコシステムは,まだ構築できていない.
- テクノロジーにどんな特長を掛け合わせているか:
- ミッションの対象:
- 孫社長は自分でつくることよりも事業を拡大することにこだわりがあり,投資をして投資先の製品やテクノロジー,ビジネスモデルをソフトバンクグループに導入すればいいと考えている.
- 比較分析から見えてくるソフトバンクグループの特長:
最終章|シナリオ分析で探るソフトバンクグループの近未来
- ソフトバンクグループでは,ウーバーやディディなどのライドシェア企業に多大な投資を行っていることから,テクノロジーのなかでも,特に自動運転技術の進化や社会実装のスピードに対して,サステナビリティやシェアリングの価値観の変化が,同企業群の時価総額を動かす大きな要因になると分析する.
- 本書においては,「テクノロジーの進捗スピード×経済成長の動向」の2軸をソフトバンクグループの近未来シナリオ分析の中核に据える:
スマホでつながり,ペイメントでつながり,情報でつながり,データでつながり,
最終的には定額のサブスクリプションですべてが使えるようになるところまで,プラットフォームとエコシステムを直接的に構築しようとしているというのが,
- ソフトバンクグループはあくまでも戦略的持株会社であり,その傘下,日本で言うとソフトバンクや,その下のZホールディングスが新しい事業化を担って,プラットフォームやエコシステムを実際に構築していくことになる.
- 日本は社会問題先進国: