のびのび働く技術

第2章|心身を健全に保つため、仕事と適度な距離をおく

自分はちゃんといい仕事ができている。そう思えれば、残業せずに早く帰ることも、休みをとることも遠慮せずにできるものです(成果を出している人のほうが同僚よりも2倍近く休みをとっているという報告もあります)。

仕事に自信を持つための第一歩になるのが、上司が考える優先順位を知ることです。「しかるべき適切な仕事に取り組むことは、献身的に働くよりもおそらく大切」


私たちが充実感を覚えるのは、何であれ、目の前のことに集中して楽しんでいるときです。

5000人以上を対象にキリングスワースらが行った調査では、今していることとは別のことを考えている状態は基本的に幸福度が低いと報告されています。


頭に浮かんでくる考えは自分が抱いている考えにすぎず、普遍的な事実とは違うと認識し、あれこれ思い悩むのをやめる。目の前の今に集中し、自分でコントロールできることにだけ意識を向ける。


第3章|モチベーションを高める方法は身近にたくさんある

  • 意欲に欠けてしまう4つの主な理由:
    1. 自分の仕事を自分でコントロールできない
    2. 自分のしていることに意義があると思えない
    3. 仕事を「学べる機会」ととらえられなくなった
    4. 一緒に働く人が好きではない

もちろん、100パーセント好きなときに好きなようにしていい仕事なんてそうそうありません。でも自分で決められる範囲が広いほど、人はいきいきし、がんばって働こうと思えるものです。

たとえ制約の大きな仕事環境であっても、ちょっとした自由とインスピレーションの時間を生み出すことはできるのです。興味のあるテーマについて30分ほど時間をつくって調べてみる。午後の会議の合間に、外へ出て会社の近くをひと回り歩いてくる。

「10分、15分程度の休憩を午後に二回入れるくらいなら、多くの人が取り入れられるのではないでしょうか」


何かに愛着を感じたければ、時間と労力をかけることです。これは「イケア効果」と呼ばれています。

イケアの家具を自分で組み立てた人は、自分で完成させた家具とすでに組み立ててあるまったく同じ家具があったとき、自分が手をかけたほうにより高い値をつける、とする研究があります。自分が組み立てたほうに高評価をつけるのは、自分がかけた労力と結びつけるからです。また、仕事ぶりをほめられればうれしくなり、もっと上達しよう、いい結果を出そうとする原動力になります。


ものごとをこなす能力は自分で伸ばせるものだと考えれば、挑戦する機会はチャンスととらえられ、難しい課題も果敢に取り組んでみようと思えます。その結果、できることが増えて進化した自分になれるのです。


真に私たちのモチベーションを上げてくれるのは、仕事そのものよりも仕事で関わる「人」だとする研究があります。職場に友人と呼べる仲間がいる人は仕事への満足度が高く、ストレスにも強い傾向があります。

「モチベーションは自分が関心のあること、大事にしていることに取り組むことで生まれます。また、自分にとって大切な人と共に取り組むこともモチベーションになります」

職場での友人にもタイプがあって、みんなが同じ役割を担うわけではありません。「信頼できる腹心の友」、「インスピレーション」、友人でありライバルでもある「フレネミー」の三タイプに分けてみていきます。

  • 新しいスキルを身につける気持ちで仕事に取り組む。深く知るほど仕事はおもしろくなるもの。


第4章|意思決定に感情を排除しなくていい