ソフトウェアファースト
1章|ソフトウェア・ファースト
サービス化する社会
- 音楽産業に起きた変化:
- アナログからデジタルへのフォーマットの変化
- アナログレコードからカセットテープ、CDへの移行。
- メディアの重要性の低下
- CDが不要となり、MP3として楽曲が流通するようになった。
- 楽曲を購入して楽しむスタイルから利用券を取得して聴く形へ
- この変化がすべての産業において起きつつあるのが今日。
- アナログからデジタルへのフォーマットの変化
- 「所有」が価値を持つ時代から「利用」が価値を持つ時代へ、さらには「体験」が価値を持つ時代へと変化している。
- サービス化の流れを根幹で支え、一大分野にしたのがソフトウェア。
- SaaSではユーザが利用し続ける限り継続的に収益が生まれる。
- IT事業者から見れば、使われなければ解約されてしまうリスクがある一方で、使われ続けるよう努力と改善を続ければ会社が成長し続ける。
- つまり、体験をより良いものにしていくことの重要性が増すというのが、SaaSの特徴。
- 技術面では、Webを通じてユーザーの利用状況を常に把握できるため、プロダクトの改善サイクルを素早く回していくことができるようになった。
サービス化を支えるプロダクト開発手法の変化
- ユーザのニーズを追えば新たなプロダクトの企画が生まれるわけではない。
- 必要なのは、より深いレベルのユーザー理解。聞くのではなく、観察を通して得られる理解。
- そこから、ユーザーの課題や求める価値を抽出し、それに対して最適な解決策を模索するのが、現代のプロダクト企画となる。
- 今日、多くの開発現場でモダンな開発手法と考えられているのがアジャイルと呼ばれる開発手法。
- アジャイル開発は特定の一つの手法を指すのではなく、ユーザーに使われるものを迅速に開発することを目的としたさまざまな手法の総称。
- アジャイルは英語では「機敏な」「素早い」という意味で、まさに素早く開発していくための手法。
- アジャイル開発の目的は全体の工程をただ単に短縮するというよりも、変化への対応を素早くすることにある。
- ユーザーへの提供物を改善し続け、その過程で気付いた新しい課題もつぶさに拾い上げながら開発に活かす。これを高速かつ継続して行うための手法。
- アジャイル開発として分類される手法に共通するのは、ユーザー重視の姿勢。
- アジャイル開発手法の本質は、短い期間で行う反復(イテレーション)にある。
- まず優先順位の高い機能を絞り込み、その機能をとりあえず動くようにして、ユーザーに触ってもらい、フィードバックを受けながら機能を充実させ、完成度を高めていく。これを反復するのがアジャイル開発手法。
- 開発と運用が一体化したプロダクトの進化のさせ方をDevOpsと呼ぶ。
ソフトウェア・ファーストとは
- 事業やプロダクト開発を成功させるには、ソフトウェアの流儀を知り、ソフトウェアの可能性も知りつつも、現状のソフトウェアが抱える限界も理解して開発に臨む姿勢が必要。
- ソフトウェアの力だけでは良いプロダクトは生まれないが、凄まじい破壊力を持つソフトウェアの特徴を理解し、プロダクトや事業開発のすべてを変えていくことが、これからの企業の競争力を左右する。
2章|IT・ネットの"20年戦争"に負けた日本の課題と光明
あらゆるサービスは「課題解決」のためにある
- すべてのサービスはユーザーの課題を解決するためにあり、かつ課題解決の恩恵を受ける人が多ければ多いほど支持される。
- 開発に必要な技術やマーケット展開を考える前に、「何が課題なのか?」「どうすれば解決できるのか?」をしっかりと定義してから開発しなければならない。