凡事徹底|平凡を非凡に努める
- 作者:鍵山 秀三郎
- 発売日: 1994/11/10
- メディア: ハードカバー
Ⅰ|凡事徹底
簡単なこと、単純なことを極めていく
- やればだれにでも簡単にできることを徹底して,その中で差をつけるという考え方.
成果をあげる人とあげられない人の差
- 微差,あるいは僅差の二つをいつも追求し続ける.
- 微差,僅差を大事にして積み重ねると大変大きな力を持ってくる.
もともと仕事というのは,単純で単調です.退屈で,見ばえのしない,やりがいのないものだと思います.
ところが,それに耐えられなくて,単純,単調ではない,もっと派手な,やればすぐに成果につながる,すぐに儲かる,あるいは,人にすぐ認められ,すぐに評価されることをやりたくてしょうがなくて,結果的には,一つもいい評価につながらないという人が多いのです.
- たえず人を喜ばせる気持ちで物事をやる,人生を送る,毎日を送る.
- 一歩踏み込んで人を喜ばすことがいかに大きな力を持つかということ.
- 人が見捨てたものの中に宝の山がある
良樹細根──根深ければ葉繁し
地下でいくら努力しても人に認められない,わかってもらえないということで,張り合いがない,楽しみがない.
すぐに認めてもらえないということで,つい根を放っておいて木を伸ばそうとして失敗した人が世の中にたくさんいます.
私はそうすれば失敗するということをよく知っておりますから,とにかく根を深く広く張るという努力だけを今日までしてきました.
結果としてそれが今日,大変大きな力になっております.
この張り合いのない,楽しみのないことにどれだけ耐えられるかということ,これに耐えられないようだったら,私は駄目だと思います.
Ⅱ|縁をつなぐ
いい縁ほど放っておけば薄くなる
ひたむきな姿は人の心を打って,それが縁につながります.商売でもなんでもそうで,これがないと駄目です.
ところが,近年,非常に誤った考え方が出てきて,人間は知識や技能だけ身につければ,一生を安泰に暮らせるというふうになりました.
頭にどんどん知識だけ詰め込み,技能的なことだけ覚えると,人間的な感情,感性が薄れてきて,人間の縁というのができにくくなってきたわけです.
これは間違っていると考えます.やはり,自分の手足を使って人との縁をつかむことが大事だと思います.
感謝、感動がいい縁をつくる
- 自分自身がいつも何にでも感謝の気持ちを持っているかどうかが縁をつくるかどうかの第一歩.
- 感謝の気持ちのない人は絶対にいい縁はできない.
- まず感謝の気持ちを持ち,それから感動する人間でないと,縁もできない.
人の喜びで最たるものは,人に頼りにされ,人にあてにされることです.
これが喜びの中でなによりも大きい.どれだけの財産を持つよりもこの喜びがいちばん大きい.
逆に,どれだけの財産を持っても,人にあてにされない,大して頼りにもされていないということになったら,生きていく甲斐がなく,どんどんエネルギーを失って老化していきます.
いい人といいかかわりを持つということが,知識,技能を持つのと同じくらい,あるいはそれ以上に大事なことだということを五十年の人生体験の中から学んできました.
「よく気づく人」になる
- 結果をよくしていくためにはどうしたらいいかというと,気づく人になること.
- 人との関係において,自分のやっていることがどうなのかということにたえず気づく.
- あるいは,この人のためにどうしたらいいかということを基本にして気づく人にならないと駄目.
- 人間的な魅力というのは,人を喜ばすということを基本にした考え方を持つことが非常に大事.
義務でないことがどれだけやれるか
- 人間は義務でやらなくてもいいことがどれだけやれるかということが人格に比例している.
Ⅲ|企業の質をどう高めるか
ときには目標を見失いそうになったり,気持ちが萎えそうになることもあるんですが,やることは人が見捨ててしまいそうな小さなことでも,紙一枚の厚さでいいから積み上げることが大事だと思います.
目には見えないけれども,確実に積み上がっているんですね.
私は「小さく生きて大きく遺す」といっているんですが,大事なのはこういうことだと思います.