頭のいい説明は型で決まる

 

東大院生が開発! 頭のいい説明は型で決まる

東大院生が開発! 頭のいい説明は型で決まる

 

 

はじめに

  • 伝わらない知識やスキルは「ない」に等しい.
  • 相手が興味のない話やメリットのないことは,どんなにこっちが必死に説明しても届かない.
  • わかりやすく説明するには,自分がどう説明したいかではなく,聴衆がどう受け取るかを考えることから始めないといけない.
  • 情報を持っているだけでは価値はない.使ってはじめて価値になる.
  • 知識を持っているだけでは価値がない.相手に伝わってはじめて価値が出る.
  • あなたと相手の知識や理解度にギャップがあるとき,その格差に対して相手は「難しい」と感じる.

 

第1講 なぜ,あなたの説明はわかってもらえないのか?

  • 相手にわかってもらえない原因3つ.
    1. 説明を聴く態勢が取れていない.
    2. 自分自身がしっかりわかっていない.
    3. 相手の知識を把握していない.
  • 相手に自分の説明を聴いてもらうということが,説明のための最初の壁.
  • 説明する側がしっかりわかっていないことは,相手にちゃんとわかってもらうことは不可能.
    → 自分自身がしっくりきていないことや腑に落ちていないものは,どんなに頑張って説明しようとしても,相手に突き刺さることはない.
  • わかる(理解する)という行為は,「すでにもっているものと新しいものをつなげる」という作業.
  • 自分と相手の共通の知識(情報)を事前に探っておく.
  • 自分がすでに身につけた専門性の高い知識を,そのままの状態で説明の中に入れ込んでしまうと,相手はまったくわからないという状態に陥る可能性が非常に高まる.

 

IKPOLET法

  1. 興味をひく(Interest)
  2. 聴き手の持っている知識や認識にアクセスする(Knowledge)
  3. 目的を示す(Purpose)
  4. 大枠を見せる(Outline)
  5. つなげる(Link)
  6. 具体化,事例,証拠を示す.(Embodiment,Example,Evidence)
  7. 転移(Transfer)

 

第2講 わかってもらう説明の黄金フォーマット「I」

  • 人が誰しも持つ「欲」と「恐怖」を刺激する.
    「欲」はメリットを見せ,「恐怖」はデメリットを見せる.

    →「これがわかると,こんなことができるようになるんです!」
    →「これをわかっていないと,こんな悲惨な結果になってしまうかもしれません.」
  • 聴き手の「欲」を刺激することが,説明の第一歩.
    → 聴き手の意識をこちら側に向けさせる.
  • まず説明する前に,「相手の欲ってんなんだろう」と考えてみるクセをつける.
  • 人は,自分のリスクが高まるとなったら耳を傾ける.
    → 人は,「メリット」,「デメリット」で動くもの.
  • 相手を食いつかせる2つの方法.
    1. 一文に「矛盾」を入れる.
     → 「実は,〇〇なの知ってた?」
    2. 「秘密」を醸し出す.
     → 「他の人にはまだ話したことはないんだけど,」

 

第3講 わかってもらう説明の黄金フォーマット「K」

  • 説明が上手い人は,専門用語や業界用語をほとんど使わない.
  • 相手のわかるレベルの知識だけで,説明しなければならない.
  • 「わかる」とは,相手がすでに持っている知識と,あなたが伝える新しい知識をつなげ合わせること.
  • まずは,現時点での相手のもっている知識を把握し,そこにつなげていく作業から始めていかなければならない.
    1. 徹底した相手のプロファイル.
    2. 相手の知識や理解度のレベルを知る.
    3. 相手の知識や理解度のレベルと到達ラインのギャップを見積もる.
    4. そのギャップを埋める説明をする.
  • 「相手の興味関心は何なのか?」
    → 相手を説得するためには,相手の関心のありかを見抜くことが大切.
  • 説明中にも,相手の様子を観察する.
  • 人に教えるという行為を通じて,自分の頭の中が整理整頓され,自身の記憶に残りやすくなる.

 

第4講 わかってもらう説明の黄金フォーマット「P」

  • 相手にしっかりわかってもらうためには,その目的,さらには意義を伝える必要がある.
  • そもそも人というのは,「何のために?」ということを意識しないと,脳の情報の吸収率が上がらない.
    →「これから説明することには,どんな目的があるのか?」
    →「何のために,その内容を理解するのか?」
  • 自己実現(目的達成)のための一手段であると割り切れる.
  • ある目的において成果をあげるためには,具体的な行動に落とし込める手段まで相手にわかるように説明しなければならない.
  • 目的が明確になっているほうが手段(行動)が定着しやすく,それゆえ行動に変化が起こりやすい.
  • 目的と手段を分けて説明する.

 

第5講 わかってもらう説明の黄金フォーマット「O」

  • 大枠(Outline)を説明に入れる目的は2つ.
    1. 理解してもらいたいことのフィールドを明確にする.
    2. 全体を俯瞰させる.

    f:id:tom0930:20180827232153j:plain

  • 全体像と,相手が立っている位置を教えてあげるだけで,わかってもらいたいゴールまでの距離や道筋がはっきりする.
  • アウトラインを説明に盛り込む2つの方法.
    1. 集合(全体と部分)
     → 「これから,〇〇について話します.」
    2. 時系列(進捗)
     → 「今日お話する〇〇は,全体の流れの中の✕✕ら辺のところです.」

    f:id:tom0930:20180827233428j:plain

  • 「〇〇」というものをわかってもらうには,相手がすでに知っているであろう「✕✕」を引き合いに出し,その関係性を「全体と部分」で伝える.
    → 多くの人が知っているであろう知識にアクセスする,という説明テクニック.

 

第6講 わかってもらう説明の黄金フォーマット「L」

  • 相手にしっかりわかってもらうためのもっともシンプルで効果的なリンクが,因果関係による説明.
    → 原因の場合は過去へ,結果の場合は未来へ意識的に時間軸をずらして説明に入れる.
  • 相手にしっかりわかってもらうためには,あなたが伝える新しい情報(知識)のメカニズムを説明するのがとても効果的.
  • 周辺知識を説明に盛り込むことで,あなたの説得力や相手の納得度は格段に上がる.

 

第7講 わかってもらう説明の黄金フォーマット「E」

  • 難易度の高い内容というのは,漠然としていて頭の中でイメージしにくい.
    具体的なイメージを相手の頭の中に描く必要がある.
  • 実際にあるもので具体的に話すと,原理や法則のような抽象的な内容をしっかり理解できるようになる.
  • 漠然とした内容を相手にしっかり理解してもらうためには,現実世界の中でそれがどう生かされているのかという事例を伝えることが重要.

 

第8講 わかってもらう説明の黄金フォーマット「T」

  • すでに身につけた知識や考え方を,他のシチュエーションで使う.
  • 他のシチュエーションでも応用できる再現性や汎用性がなくてはならない.
  • 転移(Transfer)は次の2つのステップで行う.
    1. これから説明する新しい情報や相手の持っている知識を抽象化する.
    2. その抽象化したものを,別の場面で具体的に適用する.
  • 「コピーをとって,配布する」
    → 「情報を複製して,他人と共有する」(抽象化)
    → 「クラウドを利用して,各自で閲覧する」(具体化)
  • 転移をうまく活用することで,学習の価値をどんどん上げることが可能.
    学校の理科の実験の授業を転移ができるレベルまで深く理解している人は,社会人になってからわざわざPDCAなんて学ばなくても自然にできてしまう.
  • 学んだ知識や理解したことをうまく転移させることができれば,思いもつかなかった新しいアイデアや発想をどんどん生み出すことができる.

f:id:tom0930:20180828002016j:plain

 

第9講 できる人だけが持っている3つの極意

  • 相手を否定するような言葉は使わない.
  • 比喩は,理解を加速度的に高めてくれるとっておきの武器.
  • 喩える目的は,相手の頭の中に絵を描くこと.
  • 人は,基準がないと理解できない.
    → 説明の中に,基準値を示す.
    → 人は,「絶対」よりも「相対」のほうがわかりやすい.