Tom.notes();

Computer Scienceや読書のメモ

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」

 

 

 

はじめに

  • 本書のテーマは,経営における「アート」と「サイエンス」のバランス.
  • MBAで学ぶような分析的でアクチュアルなスキルよりも,美術系大学院で学ぶような統合的でコンセプチュアルなスキルの重要性が高まっている.
  • 論理的・理性的スキルに加えて,直感的・感性的スキルの必要性.
  • 「アート」「美意識」の勉強をする.

 

忙しい読者のために

  • これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足を置いた経営,いわば「サイエンス重視の意思決定」では,今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをすることはできない.
  • 欲求5段階...生存・安全・帰属・承認・自己実現
  • ディシプリン(discipline)…規律,統制,訓練.
  • 「美」は,必ずしも目的がはっきりしていない場合であっても「美しい」と感じられる.そして「美しい」と人が感じるとき,それがなにがしかの合理的な目的に適っている
  • 自分が関わるプロジェクトを,アーティストとしての自分の作品だと考えみる.

 

第1章 論理的・理性的な情報処理スキルの限界

  • 「理性よりも感性」
  • 過去の優れた意思決定の多くは,「直感」や「感性」にもとづいてなされていることが多い.
  • 「勝ちに不思議の勝ちあり,負けに不思議の負けなし」
  • 欧州では,文系・理系を問わず,最重要科目として「哲学する力」が必修の教養として位置づけられている.
  • 経営というのは基本的に「差別化」を追求する営み.
  • 多くの人が「正解」にたどり着ける「正解のコモディティ化」という問題.(正解をだしても価値がない.)
  • 「論理と理性」に軸足をおいて経営をすれば,必ず他者と同じ結果に至ることになり,必然的にレッドオーシャンで戦うことにならざるを得ない.
  • かつての日本企業は,このレッドオーシャンを,「スピード「と「コスト」の二つを武器にすることで勝者となった.
  • しかし,昨今では,この二つの強みは失われつつあり,日本企業は歴史上初めて,本当の意味での差別化を求められる時期に来ている.
  • 個別の現象から抽象概念へと昇華させる「帰納」.
  • 抽象概念を積み重ねて個別の状況へと適用する「演繹」.
  • 優れた意思決定の本質とは,「一見すればどれも優れているように見えるたくさんの案を,まとめて思い切って捨てる」ことにこそある.
  • 美しい手を指す,美しさを目指すほうが,結果として正しい手を指すことにつながると思う.正しい手を指すためにどうするかではなく,美しい手を指すことを目指せば,正しい手になるだろうと考えています.羽生善治「捨てる力」)
  • 高度に複雑で抽象的な問題を扱う際,「解」は,論理的に導くものではなく,むしろ美意識に従って直感的に把握される.そして,それは結果的に正しく,しかも効率的である.
  • 「世の中のどんな問題を解決したいのか?」ビジョンを持つ.
  • どんなに戦略的に合理的なものであっても,それを耳にした人をワクワクさせ,自分もぜひ参加したいと思わせるような「真・善・美」がなければ,それはビジョンとは言えない.(おもしろいかどうか)

 

第2章 巨大な「自己実現欲求の市場」の登場

  • アップルという会社の持つ本質的な強みは,「ブランドに付随するストーリーと世界観」にある.
  • 外観もテクノロジーも簡単にコピーすることが可能だが,世界観とストーリーは決してコピーすることができない.
  • ストーリーや世界観というのは,その企業の美意識がもろに反映する.

 

第3章 システムの変化が早すぎる世界

  • 大きな権力を持ち,他者の人生を左右する影響力があるエリートだからこそ,「美意識に基づいた自己規範」を身につける必要がある.
  • なぜなら,そのような影響力のある人物こそ,「法律的にはギリギリOK」という一線とは別の,より普遍的なルールでもって自らの能力を制御しなければならないから.
  • 常識というのは非常に文脈依存性がある=サイトスペシフィック(特定の場所に存在する)である.
  • 目の前でまかり通っているルールや評価基準を「相対化(客観視)できる知性」をもつ,ということが重要.

 

第4章 脳科学と美意識

  • 高度な意思決定の能力は,はるかに直感的・感性的なものであり,絵画や音楽を「美しいと感じる」のと同じように,私たちは意思決定しているのかもしれない.

 

第6章 美のモノサシ

  • 「顧客に好まれるデザイン」ではなく,「顧客を魅了するデザイン」
  • 顧客のニーズや好みを探り,それにおもねっていくという,卑屈な思考は放棄されている.
  • デザイン思考が目指すのは基本的に「問題解決」であって,「創造手法」ではない.
  • 「感動の提供」をゴールとする.
  • 「説明がなくとも,一目見て,イイものはイイ,ダメなものはダメ」という判断基準.

 

第7章 どう「美意識」を鍛えるか?

  • 「アート」と「サイエンス」が,個人の中で両立する場合,その個人の知的パフォーマンスもまた向上する.という研究結果がある.
  • 科学的な業績と芸術的な趣味に無視できない関係性がある.
  • アートを見ることによって,「観察力」が向上する.
  • 「システムを懐疑的に批判するスキル」としての哲学が欠かせない.

 

おわりに

  • 世の中で通説とされる「生産性」「効率性」といった外部のモノサシではなく,「真・善・美」を内在的に判断する美意識という内部のモノサシに照らして,自らの有様を考える.