0秒で動け
はじめに
- 動けるようになるための要素:
- 「行動しよう」という「マインド」
- どうやって行動し,人を巻き込むか,という道筋をつくる「スキル」
- 「アクション(行動そのもの)」
第1章 結論を出せ!
すぐ動くためには「思考のスキル」がいる
- 動くためには,やる気や勇気も必要だが,「スキル」も必要.
- すぐ「行動」するためには:
- 自分なりの結論をすぐ着想し,
- 仮説を組み立て,
- 自身を持って踏み出す.
「頭出しの結論」を出そう
- 100%の正解がない中では,「まずは結論を出してみること」が大事.
- 「頭出しの結論」とは,たたき台(とりあえずの試案).
- ポジションをとる(自分の立場や方針を決める)ためには,「自分なりの結論を出して伝える」ことが必要.
ベータ版(β版)を出せる人.出せない人
- ベータ版(β版):
- 正式版を公開する前に,まずは試しにユーザーに使ってもらうためのサンプルのソフトウェアやアプリのこと.いわば,お試し版.
- 早い段階で「仮説」を出して,仮説に基づいて考えていくことが大事.
- 仮説とは,「おそらくこうだろう」という仮定.
- まずは仮説を立てて,その仮説に基づいて結論を出す.その結論を実行してみて初めて,仮説が正しいか,結論が正しいかを,検証することが可能になる.
- 「データを集め分析する」とは,データを見ながら唸ることではなく,データから見えることを,「〜だろう」というメッセージ(仮説)にする,ということ.
直感を仮説にする方法
- 行動が速い人は,「直感」を多用しながら頭を整理している.
- とにかく「〜だろう」という仮説をつくって,事実やデータに方向性を与えることを優先する.
- やってみて,その仮説のクオリティが低ければ,修正すればいい.
正しい,間違っている,ではありません.
仮説を立てる,結論を出す,意見を言う,ということをしてみるのが大事なのです.
- 自分の直感を信じて,まずは方向性をつけてみることが大事.
瞬間的に「結論」を出すための伊藤式「結論と根拠のピラミッド」
- 仮説とは,経験や知識,データなど,様々な事象から「こんなことが言えそうだ」ということを考えること.
- 事実や情報だけを羅列しても,それだけでは意味がない.
- 「だから何なの?」ということになってしまう.
- 様々な情報から,意味合い,つまり自分(自社)にとって意味のある「結論」を導き出してこそ,初めて意味が生まれる.
- 直感で結論を出し,後から根拠を3つくらいひねり出す.
- 根拠の出し方のヒント:「その結論を出すにあたって,大事になりそうなポイントはなんだろう?」と考えること
- 「大事になりそうなポイント」を先に考えておき,それに合わせて根拠を出すと,説得力が出る.
- 「〜(根拠)だから,〜(結論)である」と言ってみて「意味は通じるか?」とチェックする.
情報は,一定程度集めたら,あとはいくら集めても同じ
- 行動に移せる人と,そうでない人との一番大きな違い:
- 「リスクがゼロになるまでは動かない」のか,それとも「リスクはあって当然」としているか,その考え方の違い.
- 「『正解』なんてどこにもない」ことを知ることで,初めて動けるようになる.
- 動けない人は,行動する前に,可能な限りたくさんの情報を手に入れようとする.
- 問題は,情報が増えれば増えるほど,合理的な意思決定や行動につながると思っていること.
- 実際は,情報があればあるほど,意思決定はしづらくなる.
「 仮説力を鍛える」習慣
- 「結論」を出すためには,「仮説」を立てる力が必要.
- 直感を鍛えるには,次の4つが大事:
- 体験(直感を生み出すもとになる)
- 志
- 妄想
- 好奇心
テレビや読書でも「行動力」は鍛えられる
- 様々な物事について「自分事化」して考えると,様々な仮説が立てられ,ひいては実際に起ったときにも,スムーズに動くことができる.
- 様々な事象について「自分ごと」で考えて仮説を立てていくことができれば,すぐ動けるようになる.
第2章 一歩踏み出す
一歩踏み出すためにできること
- 「コミットメント(約束)と一貫性」:
- 人間は無意識のうちに,一度コミットしたことと一貫した行動をとろうとする.
- まずは目標を宣言して,その目標に向かってコミットしていく.
- すぐには目標に達しなくても,徐々に意識が目標の方に向いていき,考え方や振る舞いが変わっていく.
動き出したら反省しない(フィードバックを受けない)
- 行動し続けるには,自分に対する反応をコントロールすることも必要.
- 最初のうちは,とにかくなるべく好意的なフィードバックを受けるようにする.
- ネガティブなフィードバックも自分の糧にできるくらい余裕が出てきたら,その時,色々な意見に耳を傾けるようにすればいい.
結果がすべて,だからこそ,自己暗示も使う
- 重要なのは,「自分は誰よりも練習した」「負けるはずがない」という自己暗示をかけること.
- 本を読む時,その主人公に自分を重ねて考える.
- 本を読んで,「この会社はこうしてV字回復を実現したのだな」と思って本を閉じるのと,「待てよ,俺の仕事では,こういうことができるな」「私が主人公だったら,こうするべきじゃないのか」という視点を持つのでは,本から得られることが十倍も百倍も違ってくる.
振り返りの時間で自分の血肉にする
- 本を読んだり,誰かがやっていることがいいなと思ったら,翌日からすぐに試してみる.
- 行動を振り返ることで,行動や経験が自分の血肉になっていく.
- ひらめきは何もないところにはやってこない
- 意識や無意識の中の膨大な情報,つまり点の積み重ねがあって,初めて「つながる」瞬間がやってくる.
- 日頃から点の量を増やすこと,つまり大量のインプットをしておくことが大事.
第3章 人を動かす
他人は動かせるし,変えられる
- 大前提として「相手は変わる」ということがイメージできないと,行動に力が入らない.
「心理的安全性」を築こう
- 小グループと全体で違うのは,「心理的安全性」.
- 「心理的安全性」とは,他人の反応を気にせず,自由に発言できるような環境や雰囲気ができていることを指す.
- 会議(オフィシャルな場)でいきなり話すのはハードルが高い時には,日常的にコミュニケーションをとることにより,「話しやすい土壌」をつくっておく.
「ハレ」と「ケ」を意識しよう
- 仕事の飲み会は,自分が嫌だと思ったら出ないようにする,でいい.
- 1回の飲み会ではなくて,日々5分のジャブが大事.
- つまり,「ハレ(非日常)」と「ケ(日常)」でいえば,圧倒的に「ケ」が大事.
- ある程度人となりをわかっている人たちと1時間会議をするのと,そうでない人と会議をするのでは,疲労度は全然違う.
- 知らないと,安心して話せない.その安全性をお互いに持つために,タッチポイント(接点)を増やし,いろんな話題を投げかけておく.
- そのためには,「とにかく数を打つ」のが鉄則.いったん関係値ができあがってもずっとやり続ける.すると少しづつ,相手との深い相互理解が生まれてくる.
- 「おはようございます,〇〇さん.こないだのあれ,〇〇さんが言ってたあれですよね.」といった一言を添える.
- 相手は,自分に関心を持ってくれていると感じる.
- そして,それが日々続くと,どんどん好意が膨らんでいき,必ず仕事にプラスになる.
- 要は,"Good morning, 〇〇! How are you?"を日本語でやる.
- 「私はあなたと話したい」「私からあなたのところに行きます」という態度を見せて,1人ずつ,何かしら話題を見つけて,話しかける.
- 「どんな仕事しているんですか?」「早いですね」「その文房具素敵ですね」などなど.何でもいいんです.
人間関係は,自分から話しかけることで生まれます.
社内のコミュニケーションは「仕事」である.
交渉の3つのステップ
- 相手の論点を引き出すために,まず自分から裸になること.
- そうしないと話ははじまらない.「ひとまず私はこう思う.なぜなら,こうでこうでこうだからです」ということを早めに理解してもらう.
- 人は「言っていること」ではなく「普段,その人が何をしているのか」を見ている.
- 職場で重視される人間性には3つの要素がある:
- 普段の姿勢:いつも一生懸命仕事をしているから,今回も一生懸命考えて意見を出したんだな,となる
- 一貫性があること:その人のスタンスを理解してもらえる
- 醸し出す雰囲気:ポジティブであること.自分や,チームや,社会に対して,将来は明るい,と期待して疑わない,ということ.そういう人は,リスペクトされる.
- 職場で重視される人間性には3つの要素がある:
「一対多」のコミュニケーションだけでは人は動かない
- 大勢の前でのコミュニケーションを何度重ねても,ここぞという時には,必ずしも人は動いてくれないもの.
- そんな時は「いっぺんにみんなに説明するのではなく,一対一のコミュニケーションを繰り返して,相手を動かす」
- 人間は「一対一」のコミュニケーションで話したことは,基本的に守ろうとするもの.
- 「コミットメント(約束と一貫性」という原理が働くから
- 「一対一」のコミュニケーションでは,相手に「寄り添う」ことが何よりも大事.
- 人に動いてもらうためには,「一対多」「一対一」のコミュニケーションを使い分けながら,相手に地道に伝え続けることが大事.
- そもそも,なぜ人が動かないのかといえば,これまでの行動を変えなければいけないから.
- 人が「あっ」と驚くくらいの特異点をつくり出すことで,初めて人に印象づけることができる.
- 「この人は本気でこれをやりたいんだな」というメッセージが,そこから伝わりはじめる.
- 印象づけたいなら,まともなことをやっても難しい.相手の気持を引っ張り出すなら,「マジで!?」と相手に思わせる.
- まず,関心を持ってもらえるか否かで,その後が大きく変わる.
目的を達成するためには,「根回し」でもなんでもやったほうがいい
- 社会の中で生きていく以上,人との関係を重視しながら動いていくことは必ず必要.
- だったら,どうしたら相手はこの提案に喜んでOKを出してくれるだろうか?と考えて動くこと.
第4章 「軸」を持て
「軸」が自信や成長の原動力になる
- 最終的には,「志」や「軸」が,瞬間的に自信を持って動くための原動力になる.
- 「軸」は,その人の「価値観」が土台となっている.
- 「価値観」というのは「何が好きか/嫌いか」「何を大事にしているか」という「自分にとっての,価値に対する基準」
- つまり,「軸」も価値観の一部であり,自分にとって譲れない想いを「軸」といってもよい.
- 自分の軸が明確で,そこにあてはめて考える癖がついていれば,瞬間的にポジションをとることができる.
- 自分の軸を明確にすることで「あの人はこういうことが得意なんだな」「こういう価値観を大事にしているんだな」ということが周囲にもわかりやすくなる.
自分の中に軸がない時にはまずは「仮置き」する
今泉会長の言葉を一言一句も聞き漏らさないように耳を傾け,仕事で意思決定の局面に立った時には「今泉会長なら,どんな判断をするだろう?」「今泉会長なら,こんな時,どう振る舞うだろう」と必ず考えるようにしていました.
当時,自分の中には明確な軸がありませんでしたから,いわば今泉会長の持つ「軸」を自分の中に仮置きでインストールしたのです.
すると自然に,日頃から目にしているいろいろな事象も,今泉会長の軸で感じたり判断するようになります.
本を読んでも「今泉会長なら,ここから何を学んで,どんな行動に移すか」,失敗しても「今泉会長ならどうリカバリーするか」そんなふうに考え続けるわけです.
- 自分の軸が明確になっていると,自身を持って結論を出せ,動ける.
- 軸は価値観の中から生まれるもの
- 価値観は,過去の経験の蓄積から生まれたもの
- 志は,軸の上にあるもの