マーケターのように生きろ

はじめに

1|マーケターのように生きれば「やりたいこと」なんてなくても輝ける

自分を表現するのではなく、人の期待に応えることを追求するのです。そのために、まずは相手をよく知り、相手が何を求めているかに思いをめぐらせます。そして、自分にできる精一杯でそれに応えます。

この本では、そんな生き方を「マーケターのように生きる」と呼んでいます。マーケティングとは、そうして「常に相手からスタートする」という考え方を体現したものだからです。


このようにさまざまな場面で「求められる人」になることこそ、「個」を際立たせることに他なりません。

芸術家のように自分を表現することで「求められる」人だけでなく、マーケターのように人を理解し、その期待に応えることで「求められる」人もいるのです。


この本は、マーケターのなるための教科書ではありません。マーケティングの基本的な考え方を紹介し、それを理解してもらうことで、「マーケターのように生きる」という視点を身につけてもらうための本です。


PART1|人の役に立ち、自らの価値を高める「マーケターのように生きる」という思想

CHAPTER1|マーケティングとは「思想」である

マーケティングの定義】

マーケティングとは、顧客、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を、創造し、伝達し、運搬し、交換する、活動・一連の組織・プロセスである。


本書では、マーケティングを次の4つのプロセスに分けて考えています。

「1:市場を定義する」とは、価値を提供する相手を誰にするか決めることです。自分がつくりだす価値が、いったい誰を相手にしたものなのか。それを決めることが、すべての出発点です。

「2:価値を定義する」とは、相手の求めるものを深く探ることです。相手が何に困っているのか。相手が何を欲しているのか。それを自分がどのような形で解決したり提供したりできるのか。

「3:価値をつくりだす」とは、定義した価値を実際にカタチにすることです。

「4:価値を伝える」とは、実現した価値を相手にしっかりと伝えることです。価値を伝えるというのは、自分が相手の役に立つために欠くことのできないプロセスなのです。