ニューエリート|グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち

はじめに

  • 外見で人や仕事を判断していた時代が終わり,「私たちはどのように働き,生きるのか」という大きな視点で見ても変化が必要な時代に入っている.
  • 大手企業に就職しても,入社5年目くらいにコアメンバーに選ばれるかどうかで,エリート/ノンエリートの選別がなされてしまう.
  • 世界を変えるための方法は様々だが,「面白いからやっている」「やりたいから勝手にやっているだけ」「自分がやらなければならない」というスタンスは共通している.
    • グーグルやフェイスブックなどの企業を見ると,「世界を変える」という大義名分と「楽しいからやっている」というモチベーションが両立している.
  • 変わること.変わり続けること.そのためには,常に次の可能性に備えておくこと.
    • 今の環境が永遠に続くというのは幻想でしかない.
  • 本書では,これからの時代をリードする人とは,どんな価値観を持って,どんな仕事をして,どんなふうに生きているのかについてあれこれ語っていく.


第1章|2020年代の「成功者」とは?

  • この時代に生き残る人材や企業は,ゼロから新しい価値を生み出す人々であり,彼らに求められるのは,情熱,創造性,率先.
  • 大手企業の多くでは,新卒で入社した社員の選別を,比較的早い時期から始める.
    • たとえば,入社数年時点でコアメンバーを選出し,「次世代リーダー研修」などと銘打った研修を通じて育成に着手する.
  • 最も成長している企業は,新しい業界を作り,競争がない市場でナンバーワンになっている.
  • これからの時代をリードする人材は,確かなビジョン(「こういう世界を描きたい」「こういう世界を見たい」というイメージ)を持っている.

ビジョンは実現しやすいかどうかよりも,実現しようとする意志の強さが重要です.

ビジョンを実現したいというエネルギー(パッション)があれば,賛同する人は必ず現れます.

ビジョン,ミッションが明確で,それを実現させるためのパッションを持っている人は,確実に結果を出します.

  • 新しい働き方を楽しむ2つの基準:
    1. 仕事で自分が出しているアウトプットにプライドがあるか
    2. アウトプットを出すまでのプロセスを楽しんでいるか
  • 成功している人は,自分がもらう価値よりも圧倒的に多くの価値をもたらしている.


第2章|つねに学び、自分をアップデートする

  • 学ぶ人は,どんな環境であっても学ぶ.あらゆる機会を学びに繋げている.
  • 自分のスキルや生産性を高めるための日常的な学びは必須.
    • 自分の仕事を,インパクトと学びの高低でマトリクスにしてみる.
      • インパクトが高く,学びが多い仕事が最優先.

「結局,建物ができても自分では満足できないんです.だからこそ,自分にはまだ頑張る余地があるのかもしれないですね」

顔を見れば,謙遜で言っているのではないのは明らかです.隈先生は,本当に自分は失敗続きだと思っていて,だから頑張ろうと考えている.その謙虚な姿勢に感動しました.

  • 成功者と会ったときには,その人の価値観や,これまでの人生の歩み,成功した理由(その自分なりの解釈),成功しそうで失敗した理由などをとにかく聞く.
    • 人は,自分について聞かれるのが好きな生き物.好奇心を持っていろいろと尋ねてくれる人に対しては,肯定的な反応をするもの.

キツい選択をしないと,あとでラクにならない.キツい選択をすれば人生がラクになる

そう信じているので,迷ったときは厳しい選択をすると決めています.

  • メモをした内容は,空き時間などに見直す.
    • そして,「なぜ,この記事に心を動かされたのか」「自分の考えや理論とどう関係があるのか」を考える.

僕には,「今をしっかりやれば未来が変わる」という信念があります.今やるべきことを決めたら,中途半端に取り組まず,120%の力を注ぐべき.

その結果,道が開けたという経験を何度もしたからこそ,強く実感しています.

  • グーグル社内で行われた調査によると,大学を卒業したかどうかとパフォーマンスに相関関係があることがわかっている.
    • 知的好奇心を持つ人が,大学に行く確率が高いからだと考えられる.
    • ただ,卒業した大学とパフォーマンスには,ほとんど相関関係がないことも明らかになっている.
    • 別に,スタンフォード大やハーバード大や東大を出ていなくても,優れた仕事をする人はたくさんいる.
  • パフォーマンスと最も相関関係があるのは,挫折経験であることがわかっている.
    • 過去の挫折経験を乗り越えられたのなら,仕事で悩むことがあっても道を誤ることはないということ.


第3章|決断は直感で。早く動いて結果を出す

何かを決断してすぐに動く心がけは,非常に重要です.

決断しない人・動かない人は,何も生み出しません.つまり,迷って停滞している時間を減らすべきなのです.

  • 最終決断をする直前に決定的な情報が入ったり,ひらめきが生じたりする可能性は高い.
    • なぜなら,人が答えを探そうとするとき,無意識のうちに最良の決断をするために脳が働くから.
  • 直感で決断したら,「自分の決断の間違いを裏付けるエビデンス」を探すことが大切.
    • 私たちがやるべきことは明白.すぐに行動して,間違っていたら方針を転換する.それしかない.
  • 何かを成し遂げるためには,早く小さな失敗を繰り返すしか道はない.
    • 意図的に直感で決断する機会を作っておけば,小さな失敗も経験できるし,直感のセンスも磨かれる.

職場のちょっとした場所に洋書を置いてみるとか,絵を飾ってみるとか何でもいいのです.

別に洋書を読まなくても,なんとなく「洋書があること」が一つの刺激となります.

こういった刺激のストックを増やすことが,直感のセンスを磨くことにも繋がるのです.

  • 意図的にブランディングを図るのも重要だが,周囲の反応から,自分のブランドになり得るものに気づくセンスはもっと重要.
  • 具体的に計画して行動している人が,どんどん自由な働き方を手に入れる.
    • 一方で,行動しない人たちのキャリアが閉ざされていく.そんな二極化に拍車が掛かるはず.

成功した人たちをたくさん見るうちに,結局は行動したかどうか,さらに言うとスピーディに行動したかどうかが,成功を左右する一番のカギだと確信しました.

  • 成長ができて,やりたいことを楽しみながら仕事にできるレベルが,理想的な働き方.
    • 仕事や趣味というカテゴリを横断して「行動できる人」が活躍する場面がもっと増えていくはず.
  • これから流行りそうな活動をするよりも,「誰もやっていないこと」「自分にしかできないこと」に取り組むべき.
    • 誰もやっていないことというのは,CANではなくWILL.つまり「自分は何ができるか?」より「自分は何がやりたいか?」.


第4章|会議・チーム作りはアウトプットから逆算する

  • 材料を提示して意見を求めたり,改善のアドバイスを受けたりする.そうすれば結果は格段に出やすくなる.
    • ポイントは,目指しているゴールを明確にし,それに向かってPDCAを早く回す作業.
    • アウトプットが見えないまま会議を進めるのは最悪.
  • コミュニケーション能力は,結果で評価されるものである.これが唯一にして絶対の原則.
    • 「結果」とは,簡単に言えば人が動いてくれたかどうか.
  • 人を管理したりリードしたりするスキルが重要となる.
    • ただ与えられた仕事をこなし,一番できる人がリーダーではなく,自分でアウトプットの目標を定め,それに向かってプロジェクトマネジメントする力がリーダーシップとなる.

本物のリーダーシップは,相手が心地よくなるように親切にすること.気持ちを察して気配りをすることです.

その結果,周りが恩返しをしようと頑張って働いてくれます.

  • 質の高い雑談を支えるのは,質の高い質問.

意外かもしれないですが,グーグルは小さなミーティングが結構多い会社です.

なぜミーティングをするのか.答えは簡単,そのほうが効率的だからです.

「IT系の企業はメールで意思疎通をしている」というのは大間違いです.メールでいちいちやりとりしていたら,意思の疎通ができずに仕事が停滞します.

だから,「今ちょっといい?」と呼びかけて,4〜5人が集まって,要件だけ話し合い,すぐに問題解決をしてしまいます.

議事録や資料は,クラウド上のグーグルドキュメントに全員が同時に書き込みます.そうすれば,ミーティング終了時には資料ができあがっています.

  • メールは「持ち帰る文化」を助長する.
    • いったん持ち帰って,検討してから返事をする.これでは昔からある日本的な働き方と全然変わっていない.
    • オンラインチャットであれば,リアルタイムで意見交換をしつつ,情報を取りまとめることができる.
  • イケてる会社は,一人ひとりが生き生きしている.
    • リーダーとチームメンバーの間,同僚の間に信頼関係ができている.
    • 「新しいアイデアを出したい」「楽しく仕事をしたい」雰囲気が満ちている.

信頼関係を作るためのコミュニケーションのカギとは何でしょう?

それは,努力を褒めることです.

努力を褒めると,実際に子どもの成績が伸びるというデータがあるそうです.成績が伸びるのは,自分が信頼されているのを自覚できるから.

誰でも,尊重され,信頼されれば力を発揮しようという気になる訳です.

  • リーダーはチームメンバーとコミュニケーションを取る機会を作って,彼らの価値観を聞き出すべき.
    • 「価値観」とは,何を大切にしているのか,何を目指しているのかといったこと.
    • 「海外勤務をしたい」だったら,実現するためにどうすればいいのかを一緒に考えてみる.
    • 「家族と過ごす時間を増やしたい」だったら,定時に帰宅できるように一緒に仕事を見直してみる.
    • 黙って座っているだけでメンバーから情報が上がってくるはずがない.


第5章|スプリントのリズムで体調を管理する

  • 自己実現ができる人は,マラソンの発想ではなく,スプリントの発想で生きている.
    • スプリントは一度全力でダッシュをしたら,次のレースまでの時間は,休養や次のレースまでの改善につい費やす.
    • 「結果を出す→休む」この感覚の繰り返しを意識する.
  • 終わりを決めずだらだら残業するのはやめて,その日の結果を出したらさっさと退社して休みましょう.

人間の集中力も90分が限度.大学の講義が90分単位なのもそのせいです.90分以上仕事を続けるのはやめて,休憩を入れるサイクルで動かしていくのです.

一度デスクから離れて散歩をしてみる.お茶を買いに行く.仮眠を取る.外に出て空を見る....自分なりの休憩方法を確立することをおすすめします.

  • 新しい価値を生み出すには,自分の仕事を客観的に見る機会を作るのが不可欠.
    • 今やっている仕事に本当に意味があるのかどうかを振り返り,不要な仕事は手放していく.

大人になると,忙しい日々の中で,夢を忘れてしまいがちです.

夢を忘れるのは,想像する時間がないからです.多くの人は,受け身のまま情報を受け取るばかり.想像を怠っています.

自分が本当は何が好きなのか.何を大切にしているのか,どんな夢を持っているのか,リラックスした環境で想像してみてください.

そのための時間を作って欲しいのです.


第6章|人材をめいっぱい活かす企業のやり方

  • 「働きがい」がビジネスに与えるインパクトは大きく,たとえば生産性は21%アップ,利益は22%アップするというデータもある.
  • いつの間にか「他社に追随して作る」が日本のメーカーの常識になっている.
    • こういう会社で働くと,圧倒的に「働きがい」が低くなる.
  • 従業員が自己実現できるような場作りが,企業としてのこれからの仕事になる.
    • 個々が集中して,落ち着いて働けるような,瞬間瞬間の場作りが大切.
    • 自分が一番パフォーマンスを出せるように自分の働き方を自分で工夫し,一番集中できるときに仕事をする.それによって生産性に大きなインパクトを及ぼす.
    • 従業員がフロー状態に入ると,想像力や問題解決力が4倍になり,さらに,経営者がフロー状態に入ると,会社の生産性は5倍にまで膨れ上がるというエビデンスもある.