Google流 疲れない働き方

はじめに

  • 本書の内容:
    • グーグルで学んだ「疲れない働き方」
    • 「日本の組織で疲れずに成果を上げていくにはどうしたらいいか」

序章|皆さん,疲れすぎていませんか?

  • 労働生産性というのは,時間あたりにどれだけの付加価値を生み出せたかという価値.
  • 「疲れている」から,成果が出ない.
  • 仕事で重要なのは,付加価値,アウトプットがいかに大きいかであって,どれだけ長時間職場にいたかではない.
  • グーグルの社員たちは,最大限のアウトプットを出せるよう,心と体の状態を整えるために休息している.

日本の企業に勤めているサラリーマンは,デスクにいることが仕事だと考えがちですが, まずは自分の中で凝り固まっているこの「常識」を打ち破らなければなりません.

  • グーグルでは,社員全員が生産性を高く維持できるよう,4つの方面からの取り組みをしている:
    1. 体のエネルギー
    2. 感情のエネルギー
    3. 集中のエネルギー
    4. 生きることの意義からくるエネルギー

第1章|時間のマネジメントから,「集中力」のマネジメントへ

──フローに入れる環境をつくる

タイムマネジメントより,集中力のマネジメントを意識しよう

これまでビジネスパーソンは「仕事は会社の席で行なう」などと場所を管理されたり,「9時から17時まで働く」というように時間を管理されたりしていました.

でも,これからのよりクリエイティブなことが必要な時代に,工場のようにみんなで同じことをする仕事がベストだとは言い難いですし,

特にホワイトカラーの人にとってはこうしたマネジメントは向きません.

フロー状態に入ると生産性が2倍になる!
  • 高いアウトプットを出すためにはどうすればよいか?
    • 実は答えは単純で,「集中」すること.
    • フロー状態に入ることで:
      • 創造性・課題解決能力は4倍になる
      • 新しいスキルの学習スピードが2倍速になる
      • モチベーションを高める5つの脳内物質が放出される
      • 痛みや疲労を感じなくなる
  • プログラマーなどをはじめとした現代の知識労働者は,1日のうち30~50%は邪魔の入らない時間を持つことが理想だとされている.
  • いかにして邪魔されずフロー状態に入れる状況をつくれるかが,私たちの生産性を高めるために大事なことになってくる.
  • 【個人がフローに入るための7要件】
    • 心理的な要件:目の前の状況に意識を集中させるために整えるべきこと
      1. 明確な目標:「今,何に取り組んでいるのか」「何のために取り組んでいるのか」を具体的に自覚する
      2. リアルタイムのフィードバック:明確な目標に対し「どうしたらそれをもっとうまくできるか」をリアルタイムに把握し,結果と行動の因果関係を常につかんでおく
      3. 難易度と能力のちょうどよいバランス:タスクの難易度を,ひるむほどではないが「少し手を伸ばせば届く」程度に調節する
    • 環境的な要件:整えるべき周辺環境
      1. 大きな影響力のある課題設定:ハイリスク・ハイリターンな挑戦を設定する
      2. ワクワクする環境:「新規性」「予測不可能性」「複雑性」の3要素が高い環境をつくる
      3. 全身が没入できる環境:全身を動かして五感をフルに活用しながら,タスクに取り組める機会をつくる
    • 創造的な要件
      1. パターンに気づき,パターンを壊す
  • 大事なことは,「好奇心を持って集中をしよう」ということ.
集中しやすい環境を確保する

驚くのは,ビジネスパーソンがいつ集中しているかという調査の結果なのですが,

なんと会社にいる時間が一番集中力が低くなっていたのです.

さらに,どんな環境が一番仕事がはかどるのかという実験をした時に,遮断された空間で行うのが一番はかどったという結果も出ています.

  • 人から話しかけられたり,急な用事を言いつけられる環境だとなかなか仕事に集中できない.
    • 自分が最大限の力を発揮できる環境を,自分で意識する.
    • 自分の状況によって場所が選べる仕組みが必要
  • 誰にも話しかけられずに仕事を進めたい時,また仮眠を取りたい時に,会社の中にもう一つの「自分の場所」があると逃げ込んで自分のペースを整えることができる.
    • 自分の好きなスペースをいくつかつくっておいて,自分のペースが崩れたり,集中ができなくなった時に,逃げ込んで作業できるようにする.

日本企業では「仕事は会社でするもの」という意識が強いため,自分の席を離れることに抵抗を覚える人も多いでしょうが,

居心地のいい場所で仕事をすれば集中しやすくなって,パフォーマンスが上がるので,結果的に会社の利益にもなる.

マインドフルネスの習慣で「フロー」に入りやすくする
  • マインドフルネスのメリット:
    • 注意力・集中力を高める
    • 感情で行動することを抑える
  • 「落ち着いて深呼吸し,自分の周りの出来事を周辺視野でとらえましょう」
グーグル営業マンに学ぶ相手に振り回されない仕事術
  • 何かを頼まれたときは,「期限」と「相手がほしいもの」を確認するようにする.
  • 「すぐ反応しない」というのは,集中して疲れずに仕事をするために必要なスキル.
    • メールやメッセージを受信するたびにいちいち返信していては,仕事に集中することができない.
    • 着信のアラートは全部消し,自分が決めた時間でメールやメッセージをチェックする.
    • 優先順位もつけずに,来た仕事にとりあえず反応し,その場その場で,場当たり的に対応しているから,他人の都合に振り回されて疲れてしまう
  • グーグルのあるチームのルール:
    • 22時以降はチャットしない
    • 週末はメールしない
  • 「他人の都合で仕事をしない」と心に命じておくとよい
  • 「細かいことは決まっていないのですが,まず会いましょう」などと,単なる思いつきだけで,人の時間を奪い,相手を振り回している人も結構いる.
    • 相手を「使い放題」に使うような関係では,パートナーシップも築けない.
  • あまり必要性を感じられない会議に参加するときは,必ず相手に思ったことを言うようにする:
    • 「今日のアジェンダは何ですか?」
    • 「この会議ってなぜ必要ですか?」
    • 「これってメールですみそうですね」
環境は「自衛」せよ
  • 日本企業の社員への要求には矛盾が多いように感じる:
    • パフォーマンスを求めるのに,集中してパフォーマンスを発揮できる環境は提供しない.
  • うまく自衛しながら,自分のパフォーマンスを保てる環境を確保する.
    • つまり,本当に自分が落ち着ける,集中できる,人と話しやすい,そう感じる場所を持っておく.
    • 気持ちがいいところへ,いいところへと動いていってよい.

第2章|疲れず生産性を上げる「エネルギー」と「感情」のマネジメント

──スプリントでメリハリをつけた仕事をする

エネルギーの状態によってやる仕事を決める
  • 疲れずに自分のパフォーマンスを高めるためには,以下の項目に応じて,やる仕事を柔軟に決めていく意識を持つとよい:
    • 必要なエネルギーの方向性
    • 自分のエネルギー状態
    • 場所
  • 一口に仕事といっても,様々な内容の仕事があるはず:
    • 主に人と関わることが中心になる仕事(打ち合わせやプレゼンなど)
    • つくらなくてはならない仕事(資料作成や企画書づくりなど,集中して何かをまとめたり)
  • 状況に合わないことを無理矢理にやろうとすると疲れてしまう.
    • 状況に逆らうのではなく,上手に状況を利用する.
  • 疲れているときは頑張らない
    • 頭を使わなくてもできる仕事をする
  • エネルギーを整えるためにできること:
    • 好きな音楽を聴く・散歩をする
    • 走る・体を動かす
    • 今している仕事の意義を考える

仕事とは,アウトプットを出すプロセスです.

したがって,「自分ができるだけよいアウトプットを出す」ために,知恵を絞らなければなりません.

休憩をとることも,その一つなのです.

スプリントとは何か
  • 大きな仕事を集中して行うためには,自分を整えることが必要.
    • そのために上手く休憩を使って,そのエネルギーを蓄える.
  • 90分のスプリントで,大事な仕事に集中して当たる.スプリントとは:
    • ずっと仕事を続けるのではなく,ある仕事について集中する時間を決めて作業を行い,そのあとはしっかり休息をとるという,メリハリのある働き方のこと.
  • このスピードで仕事をすると最大限の結果を出すのは無理だと思ったら,何もしない日を意図的に作る.
    • 「何もしない」時間をつくることで,より集中して創造的な仕事をすることができる.
    • スプリントで大事なところは,「休む時はきちんと休む」ということ.
  • 大事なことは土日に考えるようにする

僕は,プレゼン資料をつくるとか,企画書をまとめるとか,クリエイティビティのある仕事で何らかの意味のあるアウトプットをするためには,

最低90分間の時間が必要だと考えています.それよりも短い,細切れの時間ではまともに集中してモノを考えることはできません.

人によっても違いはあると思いますが,90分は目安といえると思います.

  • その90分に集中するためには,次のことを守りましょう:
    • メールを見ない.関係のないブラウザやタブを閉じる
    • 必要なものはすべて揃えておく
      • きちんと必要なことを考えて,揃えてから集中しないと,「あれ,何だったっけ?」「これは調べなきゃいけなかった,ここも見ておかなければいけなかった」ということになり,集中して仕事をするどころではなくなる.
    • その作業の目標と最低限のアウトプットを決めておく
    • 90分で行うタスクを細切れにしておく
      • やるべき作業のタスクを分解して,一つひとつに集中して作業ができるようにしておく.
      • 例えば,資料作成なら:
        1. 全体の構成をつくる
        2. 文章だけの部分はすぐつくる
        3. データが必要なところの数字を集めて,グラフ化する.
        4. 全体を見直して微調整する

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スプリント

  • スプリントをする時に困るのは,周囲の人に話しかけられて作業が進まないこと.
    • デスクにいると集中してできないのであれば,在宅勤務ができるなら家でやるとか,外に出てカフェでやるとか,工夫できるとよい.
  • 90分集中して仕事をしたら,10分ないし15分位の休憩をとる.
    • 10分以内でできることは,メールを返すとか,資料に目を通すとか,打ち合わせの準備をするなど,比較的受け身の仕事.
  • 「時給」ではなく「年収」で考える
    • 時給で働くということは,勤務時間中はずっと拘束され,働かされ続けるということ.
    • 昨年よりもよい結果を狙うことで,年収を高めたり,ボーナスを増やすことを考えるべき.

第3章|確実に自分をチャージする食事・睡眠・運動の習慣

健康の土台となるのは食事
  • 食事を1日4〜5回に分けてとる
    • 昼食にがっつりと一回食べるのではなく,野菜だけ,肉だけと軽い食事に分ける.
  • 間食も含めて3〜4時間ごとに定期的に食事をとることで,血糖値が一定になるというデータもある.
  • PDCAを自分の人生すべてに適用する
    • ただし,Planはそんなに時間をかける必要はない.
    • 常に「DCA」を回して,「自分」の反応を観察する.
仮眠はパフォーマンスアップに効果的
  • 10〜20分ぐらいが効果的
    • 仮眠を30分以上とると深い睡眠状態に入ってしまい,そこで起きるとダルさが残るため,パフォーマンスアップには逆効果.
    • 仮眠を効果的にとるためのアプリ:
      • Brain Wave
      • Relax Melodies
  • 「起きる時間を一定にする」ことが一番大事
    • 休日も,平日と同じ時間に起床する.
  • 寝る1時間くらい前にスマホやテレビを観ない

第4章|疲れる組織と疲れない組織

──心理的安全性が不安を取り除く

あなたを疲れさせる最大の原因とは?
  • 心理的安全性がないと,パフォーマンスを発揮できない.
  • 生産性が高いチームの共通要因:
    • 他のメンバーへの思いやりや,共感といった能力.
    • 「自分はここの一員として認められている」「この場所なら安心して仕事に取り組める」と各々が感じられ,結果,生産性も上がる.(心理的安全性)
  • 日本では「働き方改革」と大上段に構えた言葉を使ってしまう
    • どうも日本人は物事を複雑に考えてしまう傾向が強いようだが,もっと単純なこと.
疲れる組織と疲れない組織
  • 優秀な人は「今自分がわかっていること」と「わかっていないこと」を明確に切り分け,それに対処できるから仕事が速い.

    • 疲れる組織:忖度が多い
    • 疲れない組織:「わからないこと」は「わからない」と言える
  • 「信頼はパフォーマンスに直結する」

    • 疲れる組織:本音を言わない
    • 疲れない組織:本音が言える
    • 自分が仕事にのめり込んですごくいい結果を出したのは,常に信頼し尊敬できる上司の下で働いていた時.
    • 「難しければ相談してよい」という意識を持つこと,上司の側も「何でも相談して」という一言を言えること.
  • 期待は明確になればなるほどいい

    • 疲れる組織:役割も期待されていることも曖昧
    • 疲れない組織:役割と期待が明確

グーグルの人事評価は何をすれば評価されるのかが明確で,上司と部下が1対1で行う1on1ミーティングでも,

上司は「あなたにはこういうことを期待している」「こうした目標を立てて,こんなプロセスで,進めてほしい」と明確に伝えますし,

部下もそれに対して,「こういうふうにこの仕事を進めれば,こんな形で評価される」ということが,はっきりわかる.

だからこそ,迷わずに動くことができる.

「疲れる」組織は,管理職の問題?
  • 僕はグーグルにいた時,毎週1日,一人1時間ずつ時間をとって,チームメンバーと1対1のミーティングを行っていた.
    • 話す内容は,基本的にはチームメンバーにお任せ.
    • 最低限聞いておくのは:
      • 仕事の進捗
      • 今週何をしたいと思っているか
      • その仕事が予定通りに終わっていない場合は,その理由
    • 時間をとるように見えて,それぞれ「まとまった時間」を確保しながら,安心して仕事を進めることができる.

一緒に問題を解決してあげることで,信頼感は醸成されます.いいマネージャーがいれば,メンバーは成長できるのです.

成長できれば,マネージャーを信頼して接してくれるようになります.

  • 「建設的なコミュニケーション」の1歩目は,質問することから.
    • 質問をして,状況を明確にする.
  • 本来マネジメントとは,「いかに皆でアウトプットを出すか」を考えること.
職場の「疲れるコミュニケーション」に巻き込まれないために
  • 競争しない:
    • 自分自身を敵とみて,自分が考えていることが実現できているのか,PDCAを回していったほうが,より理想の自分に近づける.
  • 自分の感じた違和感を無視しない:
    • 違和感を感じるということは,自分の価値観や信念と,相手の要望が上手く合っていないということ.
    • 違和感を無視したまま,相手と関わったり,仕事を受けてしまうと,望ましくない関係のループにとらわれてしまうことになる.

おわりに

  • 自分が高い生産性を発揮することで,世界の人々をもっと豊かにすることができるかもしれない.
    • そういう意識を持たず,自分の目の前の作業のことしか考えられないというのはとても危険なこと.
  • グローバル企業の社員は,全世界とつながっているという意識が強い.
    • 一方で,日本で働いている人は,目の前の仕事や自分のキャリアなど,自分を中心としたことばかり考えているように感じる.

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