決断力

 

決断力 (角川oneテーマ21)

決断力 (角川oneテーマ21)

 

 

はじめに

  • 追い詰められた場所にこそ,大きな飛躍がある.

 

第一章 勝機は誰にもある

  • 意表をつかれることに驚いてはいけない.そんなことは日常茶飯事であって,予想通りに進むことなど皆無といっていい.
  • 不利な局面でも諦めずに,粘り強く淡々と指していくことが,勝負のツボを見出すポイントになり,逆転に必要な直感や閃きを導き出す道筋になると私は信じている.
  • 勝負どころでは,あまりごちゃごちゃ考えすぎないことも大切である.
  • 定石を生かすにも,情報に溺れるのではなく,まず,「自分の頭で考える」ことが先決だと思っている.
  • 何かを「覚える」,それ自体が勉強になるのではなく,それを理解しマスターし,自家薬籠中のものにする──その過程が最も大事なのである.
  • いろいろ試したり,実践してみたことこそが,次のステップにつながっていくのである.
  • 「これでよし」と消極的な姿勢になることが一番怖い.常に前進を目指さないと,そこでストップし,後退が始まってしまう.
  • 仲間の格付けや,信用の後押しの違いは大きい.そのためにも,日頃から実力を磨き,周りからの信用を勝ち取ることは,物事を推し進めるために大切なことだと考えている.

 

第二章 直感の七割は正しい

  • 一つの局面に八十手ある可能性の中から,まず,大部分を捨ててしまう.たとえば,八十個あるうちの七十七個とか七十八個は,これまでの経験からもう考える必要がないとわかる.そこで「これがよさそうだ」と候補手を二つ三つに絞るのである.
  • 慣れていない,感覚でとらえられない局面には,たとえ失敗があったとしても,挑戦の楽しさがある.その中でさまざまな発見をし,充実感が持てる.将棋に限らず,何事でも発見が続くことが,楽しさ,面白さ,幸せを継続させてくれると思っている.
  • リスクを避けていては,その対戦に勝ったとしてもいい将棋は残すことができない.次のステップにもならない.積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にすると,いつも自分に言い聞かせている.
  • 大局観と事前研究があるからこそ,最善の戦略も生まれるのだ.

 

第三章 勝負に生かす「集中力」

  • 集中力がある子に育てようとするのではなく,本当に好きなこと,興味を持てること,打ち込めるものが見つけられる環境を与えてやることが大切.
  • 興味のないことには集中できない.
  • 何かに興味を持ち,それを好きになって打ち込むことは,集中力だけでなく,思考力や創造力を養うことにもつながると思っている.
  • 置かれている状況がその人にとって乗り越えられるか,乗り越えられないかの瀬戸際のときに感じるのがプレッシャーなのだ.簡単に,楽々と乗り越えられるハードルであれば,ほとんど感じないはずだ.プレッシャーを感じるのは,自分自身がそのレベルに到達していないからだ.
  • 経験を積んで,「勝つのも負けるのも経験だから,長い目で見れば結局落ち着くところに落ち着くよな」と妙な気持ちになっている.
  • 損を一気に取り戻そうとすると,うまくいかないことが多い.徐々に差を詰めることが大切である.逆転のチャンスはあまり巡ってこないと思ったほうがいい.

 

第四章 「選ぶ」情報,「捨てる」情報

  • 山ほどある情報から自分に必要な情報を得るには,「選ぶ」より「いかに捨てるか」のほうが重要なのである.
  • 過去にどれだけ勉強したかではなく,最先端の将棋を,どれだけ勉強したかが重要なのだ.ここ一年とか二年とか,本当に短い間にどれぐらいそれを勉強しているかが問われるようになった.最先端で争っていると,そこを避けることは,逃げることでもある.
  • 自分なりの信念やスタイルを持つことは,物事を推し進め,深めていくためのキーなのだ.
  • 一回でも実践してみると,頭の中だけで考えていたことの何倍もの「学び」がある.理解度が深まることで,頭の中が整理され,アイデアが浮かびやすくなる.
  • 一回やれば二回目は前回より少しはマシになるだろうと楽観的に考えている.それが次へのステップ,未来への収穫になる.成功する可能性がある限りは新しいことに挑戦していきたい.「何回か続けていけば,そのうちうまくいくだろう」,そういう気持ちで,私は取り組んでいる.現状の打破はそこにしかない.
  • 将棋を上達するためにしてきた勉強法は,初心者のころも今も変わらない.基本のプロセスは,次の4つだ.
    ・アイデアを思い浮かべる.
    ・それがうまくいくか細かく調べる.
    ・実戦で実行する.
    ・検証,反省する.

 

第五章 才能とは,継続できる情熱である

  • 才能とは,同じ情熱,気力,モチベーションを持続することである.
  • やっても,やっても結果が出ないからと諦めてしまうと,そこからの進歩は絶対にない.腐らずに努力していけば,少しずつでもいい方向に向かっていくと思っている.
  • ペースを落としてでも続けることだ.無理やり詰め込んだり,「絶対にやらなきゃ」というのではなく,一回,一回の集中力や速度,費やす時間などを落としても,毎日,少しずつ続けることが大切だ.
  • 自分の頭で考え,工夫する──その苦労や努力だけが自分の力になるのだと思う.
  • 個人のアイデアは限られている.何かをベースにして,あるいは,何かをきっかけにしてこそ新しい考えがいろいろ浮かぶ.「真似」から「理解」へのステップは,創造力を培う基礎力になるのだ.
  • 今はこれがいいという勉強法でも,時間とともに通じなくなる.変えていかなければならない.私は,年齢とともに勉強法を変えることは,自分を前に進めるための必須条件だと考えている.
  • どの世界においても,大切なのは実力を持続することである.そのためにモチベーションを持ち続けられる.
  • 日本人は,駒の色を消して何回でも使える形を発明したのだ.俳句や短歌にも共通するように,将棋にも省略の文化がある.日本人は,物事を省略し,新しく創造し直す才能に恵まれているのではないだろうか.

 

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