仮説思考

 

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

 

 

序章 仮説思考とは何か

  • 仮説とは,情報収集の途中や分析作業以前にもつ「仮の答え」のことである.
    「まだ証明はしていないが,最も答えに近いと思われる答え」
  • 仮説思考とは,情報が少ない段階から,常に問題の全体像や結論を考える思考スタイル,あるいは習慣ともいうべきものである.
  • あらゆる情報を網羅的に調べてから答えを出していくには,時間的にも資源的にも無理がある.
  • 仕事が遅い人の特徴は,とにかくたくさんの情報を集めたがること.
  • 本書では,以下の4点について具体的に述べる.
    1. 仮説思考を身につけることによって,どんなメリットがあるのか?
    2. どうしたら仮説を構築することができるのか?
    3. 立てた仮説を検証し,進化させていくにはどうしたらいいのか?
    4. 仮説思考力を高めていくには,日常どんなことをしたらいいのか?
  • 限られた情報をもとに,仮説思考によって最適な意思決定をすべき.

 

第1章 まず,仮説ありき

  • 仮説を構築した上で具体的な作業を進めるほうが,スピーディーで,かつ質の高い答えに到達できる.
  • 問題の原因と解決策について,あらゆる可能性を考えるよりも最初に焦点を絞って仮説を立てることが大事.
  • 情報が多ければ多いほど,よい意思決定ができるというのは,間違った思い込みである.
  • 情報理論の世界では,不確実性が高いことを「エントロピーが大きい」と表現する.
  • 一般に企業は,できるだけたくさんの情報を集めてから,意思決定しようとする傾向が強い.経営陣から社員まで大半が情報コレクターになっている.
  • 実験する前に論文を書く.
  • あらゆる学問の研究では,まずは数多くの実験を試み,その結果を上下左右さまざまな方向から分析し,論文をまとめていく.これが一般的なやり方.
    → 実はこれが普通の人が陥りがちな罠でもある.
    → 一般的には,分析した結果をベースに結論を組み立てることが多いが,これでは答えもストーリーの全体像もなかなか見えてこない.
  • 頭の中に,「きっとAという答えが出るはずだ」という仮説をはじめにもち,全体のストーリーを描いた上で,その仮説が正しいかどうかを実験で検証するという方法で研究論文を書く.一般的なアプローチとはまったく反対.
  • 自分がつくった仮説を検証するために必要な証拠だけを集めればいいので,無駄な分析や情報収集の必要がなくなり,非常に効率がよくなる.
  • もし仮説が間違っていたとしても,仮説を肯定するような証拠が集まらず,初期段階で間違いに気づくため,余裕を持って軌道修正することができる.
  • 3ヶ月のプロジェクトの答えを2週間で出す.
    残りの時間を,検証,チェック,ディスカッションに充てられる.

    → 当然仕事の質が高まり,仕事もはるかに楽になる.

 

第2章 仮説を使う

  • とりあえずの答えをもって,実行に移していくことが大切.
    → 医師が患者の診察をするときとよく似ている.
    → 問題発見の仮説を立て,それに基づいて検査を行う.
  • 仮説を使うということは,問題を考えついたり,答えを探し出したりするプロセスというよりむしろ,効率的に不要な問題や役に立たない解決策を消去するプロセスなのである.
  • 仮説を進化させるには,仮説を立ててから検証するまでのサイクルタイムを可能な限り短期間に抑え,できるだけ数多くの実験を繰り返すことがポイント.
  • 資料が十分に揃っていなくても早い段階でストーリーの全体構成をつくってしまい,全体感をもつほうが効果的である.
  • いきなり細部からつくるのではなく,ストーリーを構造化することで全体の大まかなシナリオをつくってから,そこに詳細な内容を加えていく.

 

第3章 仮説を立てる

  • 両極端に振って考えることによって,物事の本質が見えてくる.
  • 「両極端」を探求することによって,無数の事象や関係の中から,何が最も重要で決定的なことかを識別するスキルを磨くことができる.
  • 既存の枠組みにとらわれず,目的に対して白紙の段階から考える.
  • よい仮説の条件とは,「一段深く掘り下げたものである」ことと,「具体的な解決策あるいは戦略に結びつく」ことの二つ.

 

第4章 仮説を検証する

  • 恥をかくことを恐れずに,中途半端な仮説でも前倒しでぶつけてみて,よいインプットをもらい,修正したり進化させたりしていくことが大切.
  • ディスカッションで答えを引き出したいなら,必ず自分なりの仮説を立てておき,それを先にぶつけなくてはならない.
  • 自分で何もわからない状態で相手に教えてもらおうとする姿勢では何も得られない.「自信はないけれど,こういうことなのではないか」という程度でいいので,仮説をぶつけてみる.
  • たとえ間違っていたとしても,周囲にはその問題に関してよりくわしい人や,まったく違う視点をもった人がいるのだから,その人たちとディスカッションすることによって,仮説を検証し,進化させていけばよい.
  • 仮説の検証のための分析のコツは,まず最小限の要素だけを急いで簡単にやるよう心がけること.
    → Quick and Dirty
    → 自分が納得するため.自分が立てた仮説が合っているかどうかを急いで検証する.
  • 闇雲に分析してから問題を整理するのではなく,まず問題意識をもって仮説をつくり,それが正しいかどうかを検証することが,分析を行う正しい態度である.
  • 問題意識のない,なんとなくの分析は,決してやってはいけない.
  • 定量分析の基本技
    ① 比較・差異による分析
    ② 時系列による分析
    ③ 分布による分析
    因数分解による分析

 

第5章 仮説思考力を高める

  • 見の回りにある現象が起きたときに,それが意味するところは何かと考え続けること.
  • iPodの流行という現象から導きだされるSo What?は何通りもある.周囲で起きている事象についてSo What?と考えるクセをつけると,仮説思考力は磨かれていく.
  • 「なぜと5回問え.そうすれば原因ではなく真因が見えてくる.」
  • 相手の立場で考えると,今までは考えられなかった仮説を構築できる.
  • 上司の意思決定をシミュレーションする.自分ならどんな仮説を立てて,どう判断するか考えてみる.

 

終章 本書のまとめ

  • リーダーに欠かせない先を読む力,すなわち先見性と,少ない情報で意思決定する判断力,すなわち決断力が身につく.
  • 大して情報がないうちから結論を出すのだから,気持ち悪くて当然.

 

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