独学の技法

 

知的戦闘力を高める 独学の技法

知的戦闘力を高める 独学の技法

 

 

 

はじめに

  • 覚えても9割は忘れるため,「覚えること」を目指さない.
  • アップルがiPhoneというイノベーションを成し遂げ,携帯電話産業に参入してきたことで,撤退を余儀なくされる企業が出現した.つまり,イノベーションが起きれば,一方で,市場が蒸発する.
  • 企業や事業の旬な期間というのは,だいたい10年程度.
  • 「さまざまな領域にわたる広範な知識」は,独学によって身につけるしかない.

 

序章 知的戦闘力をどう上げるか?

  • 独学は大きく,「①戦略(方向性)」→「②インプット(学ぶ)」→「③抽象化・構造化(思考し,紐付ける)」→「④ストック」の流れ.
  • 事実だけをインプットするのではなく,そのような事件や事象がなぜ起きたのかを考え,人間や組織や社会の本質についての洞察を得る,ことが大切.
  • 歴史は,ケーススタディの宝庫.過去の類似事例において,その問題に向き合った人たちがどのように対処し,その問題をうまく乗り切ったか,あるいは破滅してしまったのかを知ることが大切.
  • 歴史というのは,「人や組織の振る舞い」について,過去の事例をもとにして考察するという学問.
  • 「何をインプットしないのか」ということを明確にし,時間を有効に使う.
  • 過去の歴史を振り返ってみると,大発明の契機になっているのは,偶然であることが少なくない.
  • 「幕府の将軍と天皇という二重権力構造」から得られる洞察とは,「長く続く体制には,権力の集中を防ぐカウンターバランスシステムが働いている」ということ.二重権力構造だったという事実が重要なのではなく,二重権力構造によって権力の集中を防いでいた,ということが重要.また,「歴史」のジャンルから,「経営」のジャンルにクロスオーバーしていることにも注目.

 

第1章 戦う武器をどう集めるか?

  • 独学の戦略とは,「何を学ばないか」を決めることである.
  • 何らかの分野について独学する際には,10冊程度のインプットが必要.
  • ジャンルではなく,テーマを先に決める.「心理学」「歴史」「スポーツ」といったジャンルに沿って独学をしても,すでに体系化されたものであるため,その人ならではの洞察や示唆がうまれにくい.
  • 「読書は,他人にものを考えてもらうことである.本を読む我々は,他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない.」
  • 「新しいアイデアとは,新しい組み合わせによって生まれる.」
  • 異分野のクロスオーバーを実現し,他の誰にも真似できない,を目指す.クロスオーバーを作ると,ユニークなポジションを作りやすい.
  • 多くの人は,「自分が持っているもの」を活かそうとせず,「自分が欲しいもの」を追求してしまう.
  • 自分に「ない物」を一生懸命に努力して獲得したとしても,それは精々「人並み」にしかならない.
  • 自分を他者と差別化するポイントは常に,自分が当たり前と思っていることの中にこそ潜んでいる.

 

第2章 生産性の高いインプットの技法

  • 時代においていかれないように.知識のアップデートを行う.
  • 変化の激しい世の中に引きずられて価値を失うことのない,礎になるような知識が,教養.
  • 本から得られた知識を,「必要になったときに立ち戻って参照する」ための仕組みが必要.
  • 偶然を,楽しむ.
  • 長期的な目標を決め,一意専心に頑張るのは危険.
  • 過去の偉大なイノベーションは,本来意図した用途市場とは全く別の用途で花開いている場合が多い.
  • 重要なのは,「何の役に立つのかよくわからないけれども,なんかある気がする」というグレーゾーンの直感.
  • 無目的で無節操なインプットこそ,継続的に知的戦闘力を維持するために重要.
  • 読書のスピードは,累積の読書量に左右される.
  • インフォメーションが,単なる情報でしかないのに対して,インテリジェンスというのは,その情報から示唆や洞察が得られるということであり,さらには,その示唆や洞察により,自分の意思決定の品質が上がるということ.
  • 本をまるごと一冊読むよりも,その本を深く理解している人から,今の自分にとって重要性のある箇所だけをエッセンスとして教えてもらう方が遥かに効率的.

 

第3章 知識を使える武器にする

  • 得た情報・知識をモデル化する.(数学でいうところの,一般化)

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  • 新しく仕入れた情報を,自分が持っている知識・経験と結びつける.
  • 抽象化していないために,他の場面への応用がきかない.
  • 得られた知識は何か?その知識を他の分野に当てはめるとしたら,どのような示唆や洞察があるか?

 

第4章 創造性を高める知的生産システム

  • 知的ストックが厚くなることで,洞察のスピードと精度が上がる.
  • 洞察力とは,「目に見えない現象の背後で何が起きているのか?」「この後,どのようなことが起こりうるのか?」という二つの問いに対して答える能力.
  • ある物事の解決策・洞察をゼロベースで考え出すことは非常に難しいため,知的ストックを有効活用する.
  • 誰もが当たり前だと思っていることに対して,「Why?」を投げかける.当たり前を疑う.
  • アナロジーというのは,一見すると直接的な関係はなさそうな分野の知見を組み合わせることで,新しいアイデアを得るという考え方.
  • 創造性とは,「なにかをつなげる」「新しい組み合わせを作る」こと.
  • イデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない.
  • イノベーターは成功したから多く生み出したのではなく,多く生み出したから成功した.
  • イデアの質は,アイデアの量に依存する.
  • 忘れるために,ストックしておく.
  • 単にストックするのではなく,「示唆・洞察」をストックする.

 

第5章 なぜ「教養」が知の武器になるのか?

  • 誰もが疑問を感じることなく信じ切っている前提,常識,枠組みに対して,「問う」「疑う」ための技術がリベラルアーツの真髄.
  • 質の良い「問い」「疑い」のないところには,質の良い「アウトプット」は生まれない.
  • 出世するということは,ある意味ではどんどん「非専門家」になっていくということ.
  • これからの世の中で起きることのほとんどは,過去の歴史の中で起きている.(同様のメカニズム)
  • 歴史を知らないと未来を予測できない.
  • モノの価値は,需給のバランスによって決まる.
  • 非合理な判断をする不思議な人間の振る舞いを研究するのが心理学.
  • 過去の歴史を振り返れば,革命的な業績の多くが「独学者」によって成し遂げられている.