人望が集まる人の考え方
- 作者: レス・ギブリン,弓場隆
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2016/07/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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はじめに
すべての人が他人に何かを求めている.
誰もが相手に好意を求め,自分を受け入れて認めてほしいと思っている.
- 自分が他人に何を求めているかを冷静に考えてみる
- 人間の習性についての正確な知識を身につけて実践すれば,あなたは求めているものを手に入れることができる.
- よい人間関係とは,自分が求めているものを手に入れるのと引き換えに,相手が求めているものを与えること.
- その対象(人間の習性)について知れば知るほど,その扱い方(人との関わり方)に自身を持つことができる.
Part1|人間の習性をうまく活用する
第1章 成功と幸福を手に入れる方法
- 成功の15%は仕事のスキルによるもので,85%は性格的な要因,とくに他人とうまくかかわる能力によるもの.
- どの分野であれ成功しているのは,人との関わり方の秘訣を心得ている人.
- 本書の目的は人間関係の小手先のテクニックを教えることではなく,人間の習性に対する正確な理解にもとづいた実用的なノウハウを教えること.
第2章 人を動かす基本的な秘訣
- 人々は自尊心を傷つけられると感情的になりやすいが,自尊心を大切にしてもらうと理性的に振る舞う.
- 自己中心的な人は自尊心が高すぎるのではなく低すぎる
- いったん自尊心が満たされると,自分のことを忘れて他人のニーズに意識を向けることができる.
- 自尊心が満たされれば:
- 寛容の精神を発揮するので,相手の考え方にじっくり耳を傾けることができる.
- 自分のニーズが満たされているので,相手のニーズに配慮することができる.
- 精神的に安定しているので,相手にミスを指摘されても素直に認めることができる.
- 批判を受け流すだけの自信があるので,おおらかな態度で相手に接することができる.
- ほめ言葉をかけて相手の自尊心を満たせば,気難しい人に対して大きな効果を発揮する(普通の人に対して効果があることは言うまでもない)
人々はたいてい自分の自尊心を満たすために行動するから,正論を説くよりも相手の自尊心を満たすほうが人を動かすうえで効果的である.
第3章 自分の「隠れ資産」を有効に使う方法
世界中の人が最も飢えているもののひとつは,自分の重要感であり,すべての人は自分の価値を他人に認めてほしい,自分をほめてほしい,自分に気づいてほしいと思っている.
- あなたが持つ「隠れ資産」:
- あなたは他人の価値を認める力を持っている
- あなたは他人が自分を好きになるのを手伝う力を持っている
- あなたは他人を受け入れて大切に扱う力を持っている
人間関係を好転させる最も即効性のある方法は,自分の「隠れ資産」を気前よく相手に与えることだ.
出し惜しみをしてはいけない.コストはかからないし,使い果たすおそれもない.条件をつけてはいけない.自分の求めているものを相手が与えてくれるように画策してはいけない.
- すべての人は自分の価値を確認するのを他人に手伝ってほしい
「人間が論理の生き物というより感情の生き物だと気づけば,人間関係の技術は飛躍的に向上する.
私たちの人間関係は,相手をどう認識するかにかかっている.
相手を独自の価値を持つ存在として大切に扱うと,相手の意見や考え方に敬意を払うようになる.」
- 一人ひとりが人間として大切にされていると感じる労働環境で,仕事の進め方にある程度の裁量を与えてもらうと,作業員はより良い仕事をする.
- 私たちは自分の重要性を相手に印象づけたいあまり,相手を軽んじて自分をよく見せるための言動をする傾向がある.
相手に好印象を与えたいなら,自分のすごさをひけらかす必要はない.
相手に感銘を与える最も効果的な方法は,自分が相手に感銘を受けたことを伝えることだ.
第4章 他人の行動と態度をコントロールする方法
自分が熱意を持つまで,相手に商品を売ることはできない.
自分が商品に対して熱意を持つと,相手はそれを買いたくなる.
- 自信にあふれた態度をとることは,自分の魅力を高めるための最も重要なことのひとつ.
- 自分を信じているように振る舞えば,相手はあなたを信頼する.
相手を信頼していることを知らせれば,相手は自分が信頼に値する人物であることを証明しようと努める.
第5章 相手によい第一印象を与える方法
- 自分の最初の言葉,動作,態度が「主音」となることを肝に銘じる.
どんな種類の話し合いを始めるときも,まず,「自分は何を求めているのか?
この話し合いがどんな展開になることを期待しているのか?
どういう雰囲気で話し合いをしたいのか?」と自問することが望ましい.
- 自分が他人にどう思われるかは,自分の自己評価によるところが大きい.
- 他人についてネガティブな発言をすると,自分について悪い印象を相手に与える結果になる.
- 自分の動作が,相手に影響を与える.
相手に好印象を抱かせる最高の方法のひとつは,相手に感銘を受けたことを伝えることである.
Part2|友情をはぐくんで相手を味方につける
第6章 人々をひきつける3つの条件
- 人をほめるときのひとつのルールは,目立たない長所をほめること.
- すべての人が自分をほめてほしいと強く思っている
- すべての人は自分の価値を高く評価してくれる人をつねに探し求めている
- 相手を尊重していることを示す方法:
- できるかぎり相手を待たせない
- 相手に感謝する
- 相手を特別扱いする
- どんな商売であれ,「顧客」という抽象的な存在を扱っているのではないことを肝に銘じよう.
すべての人は自分を大切にしてくれる人を好む
第7章 相手とすぐに打ち解ける方法
- 「自分のことを相手が好いてくれると信じることが大切だ」
- 相手に微笑みかけることによって,相手をその他大勢と区別して特別扱いしている.
ほめ言葉をかけて,ほほ笑みを浮かべよう.ほめ言葉の力は何倍にも増幅する.
頼み事をするなら,ほほ笑みを浮かべよう.相手は要望に応じたくなる.
頼み事をされたら,ほほ笑みを浮かべよう.相手は感謝して信頼してくれる.
苦言を呈するなら,ほほ笑みを浮かべよう.相手は厳しい内容を理解してくれる.
初対面の人に会うなら,ほほ笑みを浮かべよう.相手は親しみを感じてくれる.
Part3|効果的な話し方で成功する
第8章 言葉で表現する能力を磨く方法
- 仕事をする能力と同じぐらい,話す能力が成功に大きな意味を持つことがある.
- 幸福もまた,自分の考えや欲求,希望,野心を相手に伝える能力に大きく左右される.
- 多くの人が不幸を感じるのは,自己表現が下手なために思考と感情を自分の中にため込んでしまうから.
どんなに活発な会話でも,その内容の半分がありきたりであるばかりか,まったく無意味ですらある.
少なくとも会話の初期の段階ではそうだ.
しかし,徐々にテンションが上がり始めたあとで,ようやく会話全体が独創的になる.
ほとんどの人が会話のきっかけをつかめないのは,難しく考えすぎているからだ.
- 会話では,相手に自分のことを話させる.
- 最も大切なのは,相手に話をさせること.
- 会話上手になる秘訣は利口なことを言ったり自慢話をしたりすることではなく,相手の心を開いて話をしてもらうこと.
- 自分を話の中心にするのではなく,相手に質問して話を聞き出すことが,会話上手という評判を得る秘訣.
- 自分の素晴らしさをアピールして自己満足に浸るか,相手に話をさせて自分に好意を抱いてもらうか.
第9章 聞き上手になる方法
- 「相手の言い分に共感して理解のある態度を示すことが,人望を集める最も効果的な方法である.」
- 相手の話をひと言も聞き漏らすまいという姿勢で一生懸命に耳を傾ければ,「非常に利口な人」と評価してもらえる.
- 一方,愚か者は相手の話がいかに重要かに気づかないので耳を傾けようとしない.
「神様は人間にふたつの耳とひとつの口を与えた.話す量の2倍を聞くことにあてるように意図したからだ」
- 成功するには相手が求めているものを与えることが不可欠である.あなたは絶えず相手の要望に耳を傾けなければならない.
- 人間は存分に話しをさせられると自分の本心をごまかせなくなる.
- 一生懸命に隠そうとするかもしれないが,どうしても本音をしゃべってしまう.
- 「相手の話にもっと耳を傾けるべきだ」と自分に言い聞かせる.
相手の発言にじっくり耳を傾け,相手が何を求めているかをよく知る必要がある.
第10章 たちまち相手の賛同を得る方法
- 議論に勝つための唯一の方法は,相手が自らの意思で賛同するように働きかけることである.
- プレッシャーをかけず,脅し作戦を使わないで冷静に事実を提示することが,自分の考え方を相手に受け入れさせる最善の方法である.
- 人を動かしたいなら,人間の習性に反するやり方ではなく,人間の習性に合うやり方を学ばなければならない.
- あなたの考え方がどんなに素晴らしくても,それを押し付けると相手は心を閉ざしてしまう.
- 自分の価値観と相容れない考え方を押し付けられると必然的に強く反発する
「相手を説得するには自分の意見を控えめな態度で正確に述べると効果的だ.
その際,『私が間違っているかもしれないが』と切り出すといい.
相手はあなたが遠慮がちに話しているのを見て謙虚な姿勢に共感し,自分の考えを改めて『あなたが正しい』と言ってくれるだろう」
Part4|人々にうまく働きかける
第11章 相手の全面協力を得て成果を上げる方法
- 他人に作業を手伝ってほしいなら,その人にアイデアを求めよう.
- 人々は知恵を求められなければ,体力を100%発揮することが心理的にできない.
- 発言権が与えられず,提案すら許されていない労働者は,提案を奨励されている労働者ほど熱心に働かない.
- すべての人が他人の問題より自分の問題に興味を持っている
- 相手にアドバイスを求めたら,あなたは解決すべき問題を相手に与えて興味をひくことができる.
「この問題について意見を聞かせてほしい」「あなたならどう解決するか教えてください」と言うと,
相手は自分が信頼されていることを実感して親近感を抱く.
第12章 人間関係で奇跡を起こす方法
- 「相手が求めているものを見極めて与える」
自分が感謝していることを言わなくても相手はわかってくれると思ってはいけない.
相手の行為に対する感謝の気持ちをきちんと伝えることによって,相手はあなたのためにもっと尽くしたくなる.
- 相手の能力をほめると,相手の能力を高めることができる.
自分の幸福感を高めたいなら,他人の中にほめるべき素晴らしい点を探そう.
これほど確実に自分の幸福感を高める方法はない.
- 相手の行為や性質をほめると,相手の自尊心を高めることができる.
相手の行為や性質をほめると,ほめ言葉が具体的になって誠実さが伝わる.
また,相手は何をほめられているかが正確にわかるから,よりよい結果が得られる.
第13章 相手を怒らせずに注意を与える方法
- 注意を与えることの本当の目的は相手をおとしめることではなく,相手を向上させることである.
- 相手の気持を傷つけることではなく,相手がよりよい仕事をするのを手伝うこと.
- たとえ動機が純粋で,誠実な気持ちで注意を与えても,大切なのは相手がどう感じるか.
- なるべく第三者がいる前で叱らないように気をつけるべき
- ほめ言葉で前置きをする:
- 「ビル,素晴らしい報告書だったよ.しかし,気になったのは...」
- 「メアリー,よく働いてくれてありがとう.ちょっと指摘したいのだが...」
- 「ジェフ,いつも協力してくれて嬉しいよ.でも,最近は少し...」
- 「ジョン,おかげでずいぶん助かったよ.ひとつだけ言っておくと...」
- 「リンダ,向上心がとても旺盛だね.ただ,ふと思ったのだが...」
一対一で注意を与える → 人前で相手に恥をかかせない
ほめ言葉で前置きをする → 相手を頭ごなしに叱らない
相手の行為に注意を与える → 相手の人格を攻撃しない
正しい方法を教える → 具体的な方法を丁寧に指導する
要求ではなく依頼をする → 協力したいという気持ちにさせる
注意は1回にとどめる → しつこくならないように気をつける
友好的に話を終える → 最後に励まして相手を勇気づける
Part5|人間関係のワークブック
第14章 成功と幸福をもたらす効果的な行動計画
- 自己分析チェックリスト:
- 自分が求めるものを与えてもらう前に,相手が求めているものを与えているか?
- 相手が完璧でなくても受け入れているか?
- 自分が求めるものを得るのと引き換えに,相手が求めるものを与えているか?
- 相手をこき下ろして自分の自尊心を満たそうとしないように気をつけているか?
- 相手に純粋な関心を寄せているか?
- 相手に注目しているか?
- 相手を対等の人間として扱っているか?
- 相手に自身と希望を与えているか?
- 相手の個性を尊重しているか?
- 相手を大切な存在として扱っているか?
- 相手が友好的であることを想定し,自分から歩み寄っているか?
- ふだんから身だしなみに気をつけているか?
- 相手に好意を持ってもらえるように接しているか?
- 気さくでとっつきやすいか?
- 相手の話に耳を傾けているか?
- 自分の考えを相手にうまく伝えているか?
- 相手に協力してもらえるように気をつけているか?
- 相手に協力を求めるとき,参加を呼びかけているか?
- 周囲の人の知恵と体力を活用し,彼らの才能を最大限に生かしているか?
- ほめ言葉が持つ奇跡的な力を理解しているか?
- 相手の功績をつねに認めているか?
- 感謝の気持ちをきちんと相手に伝えているか?
- 相手を怒らせずに注意を与えているか?
- 相手とのやりとりで誠意を尽くしているか?
- 他人に忍耐強く接しているか?
- 誰かに何かをしてもらうとき,それをしたいと思う動機を相手に与えているか?
- 不満をため込まないように気をつけているか?
- かんしゃくを起こして周囲に迷惑をかけないように自分を律しているか?
- うぬぼれて自慢話をしないように自分を戒めているか?
- 尊大な態度をとらず,つねに謙虚さを心がけているか?