論点思考
- 作者: 内田和成
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2010/01/29
- メディア: 単行本
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はじめに
- 解くべき問題(課題)のことを「論点」と呼ぶ.
- 解くべき問題を定義するプロセスを「論点思考」と呼ぶ.
- 短期間で答を出すためには,最初の論点設定が極めて重要になる.
- 前著『仮説思考』では,主に問題解決をいかに効率よくかつ効果的に解くかを論じた.
第1章 あなたは正しい問いを解いているか
- あなたがいま解いている問題,これから解こうとしている問題は正しいのだろうか.正しく設定されているだろうか.
- 「どのような新製品を開発したらよいか」「どのようなマーケティングを展開したらよいか」という論点ではなく,「既存顧客からいかに収益をあげるか」というあらたな論点の設定.
- いくら問題解決能力が優れていても,間違った問題を解いていたらなんにもならない.
- 自分で問題を発見したり,定義しなければならない.
- うまくいかなかったら,論点を見直して再設定する.
- 問題解決能力の高い人とは,実は論点思考力が高い人.
- 問題を与えられたときに,「本当に正しいか」,つまり論点の設定は間違っていないか,という視点を常にもつ.
第2章 論点候補を拾いだす──戦略思考の出発点
- 優秀なコンサルタントは,すべての問題を解決しようとはせずに,課題を一つに絞って,それを解決することに力を注ぐ.
- 「本当の論点がなにか」を探るためには,まずどんな論点がありそうかをリストアップする必要がある.
- ベテランは「本当の論点はなにか」を考える.初心者はインプットと構造化を繰り返す.
- 世の中には,論点をきちんと設定せずに「問題」だと思われているものが多い.きちんと論点を設定していないうちに問題解決を図ろうとしているから解くことができない.
- 論点は一見してわかる単なる問題点(現象・観察事実)ではない.このことを最初に頭に刻み込んでおくことが大事.
- 論点を見つけるには,「本当にそれが論点か」とつねに疑問をもつ.
- 「なぜ」を繰り返して課題の真因に迫っていくことができる.
- 自分が作業をしたり,議論をすることで,当初は論点だと思っていたことが,実は論点ではなかったり,あるいは同じ論点でもさらに深掘りする余地があることに気づき,論点が進化することもある.
第3章 当たり・筋の善し悪しで絞り込む
- 論点の当たりをつける際には,仮説思考(仮説を立てて検証することの繰り返し)を使うことが重要である.
- 「なぜ」を5回繰り返す.
- 問題を解くときに,「一番重要な問題から解く」という方法と「解ける問題から解く」という方法がある.
- 解決した場合どれぐらい効果があるか,と考える.
- 筋のよい論点とは,かなりの確率で答えが出そうな論点であることが必要条件.
- そして,その解決策を実行したら,企業として成果があがりそうなもの,ここまで満たしていたら十分条件といえる.
- つまり,簡単に解け,容易に実行でき,実行すると大きな効果が短時間で表れるのが「筋のよい」論点.
- 論点に向かい合うときは,どれを解くと問題が解決するか,減少するかという視点が必要.
- 「戦略とは捨てることなり」
第4章 全体像を確認し,論点を確定する
- 課題が指示された段階で,質問したり,仮説をぶつけたりするのは重要なこと.
- 論点を設定する際によく考慮すべきなのが,自分に問題解決を頼んだ人の思いである.発言の真意,意図,バックグラウンドを考えることが重要になる.この問題をどうしたいのか,なにを悩んでいるのか,なぜこんなことを自分に依頼するのか...などをきちんと理解することが大事.
- 直感を重視し,後からそれを論理的に説明するように考えたり,あるいはどうやったら検証できるかを考えるということがあっていい.
- クライアントがなにを望んでいて,なにを望んでいないのかを考えて論点を設定していく.つまり基本的な心構えは,相手の思考パターンで考えるということ.
- 人間というものは,問題を目の前にすると,自分にとって重要かどうか,あるいは自分がやりたいか,やりたくないかと考える.さらには,自分で解けそうか解けないかと考えてしまう.でも,そうではなく,相手の立場で考えることが必要.
- これこそが取り組むもべき問題ではないか,この問題を解決できるなら,ほかは犠牲にしてもよいのではないかという優先度の高い論点をえぐりだすのが,「当たりをつける」という考え方.
- 自分が解決しなくてはいけない仕事はなにかと考える.いまなにに答えを出そうとしているのかと考える.なんのために,なにを解決するのか,どういう問いに白黒をつけるために,自分の時間を注ぎ,いかに会社の役に立っているのかを考える.
- まずこれが問題ではないかという点に当たりをつけることから始める.最後に念のために,間違いがないかを全体像で確認する.ここに論点思考の極意がある.
第5章 ケースで論点思考の流れをつかむ
- 最初に現象がある(問題,論点ではない).そこから仮説を立て,論点を拾い出す.次に仮説として立てた論点が,正しいかどうかを考える.
- また,解けない論点,解いてもインパクトの小さい論点であれば,外したり,優先順位を下げるなど,論点の絞り込みをし,検証整理,構造化を図る.
- はじめに当たりをつけ,トライ・アンド・エラーしていくことが経験を加速化させる.これを忘れてはならない.
第6章 論点思考力を高めるために
- 論点思考を的確に行なう能力を身につけるには,日頃から「本当の課題はなにか」と,とことん考える姿勢を通じて,経験を積む必要がある.
- 上司から与えられた課題であっても,上位の課題・論点というところまでさかのぼって,自分の問題として考えようとするかどうかで,自分の仕事に対するオーナーシップや,目の前の仕事に取り組む上での視野の広さ・視点の高さには大きな差が出る.
- 課題はなにかとつねに考えている人と,ただ与えられた課題の答えを探している人とでは,考え方そのものが大きく違う.
- 問題意識をもっている人は,同じ作業をやっても出来がいい.上に対してチャレンジができればもっとすばらしい.
- 聞く力とは極論すると問題意識である.問題意識をもって聞くと,相手が何気なく言った言葉が自分のアンテナに引っかかる.問題意識がないと聞き逃してしまう.
- 論点思考は決して上流から下流へ向かって一方向にだけ進むアプローチではない.つねに解くべき問題(大論点)はなにか,あるいはそれを解くためにはどのような中(小)論点に答えを出すのがふさわしいのかを自問しながら,行きつ戻りつするのが現実の姿である.