具体と抽象
はじめに
- 抽象化思考の重要性を説く本.
序章 抽象化なくして生きられない
- 「具体=わかりやすい」「抽象=わかりにくい」というのは大きな誤解.
- 「抽象化を制するものは,思考を制す.」
- 解釈の自由度が高いということは,応用が利くことになり,これが抽象の最大の特長である.
第1章 数と言葉
- 言葉と数を生み出すのに必要なのが,「複数のものをまとめて,一つのものとして扱う」という「抽象化」.
→ 抽象化を利用して人間が編み出したものの代表例が「数」と「言葉」.
第2章 デフォルメ
- 抽象化とは,「特徴を抽出する」ということ.
→ 様々な特徴や属性を持つ現実の事象のなかから,他のものと共通の特徴を抜き出して,ひとまとめにして扱うということ. - 特徴あるものを大げさに表現する代わりに,その他の特徴は一切無視してしまう大胆さが必要.
第4章 法則とパターン認識
- 抽象化とは,複数の事象の間に法則を見つける「パターン認識」の能力ともいえる.
第5章 関係性と構造
- 「共通点と相違点」を適切につかんでいることが抽象化,ひいてはたとえ話の出来栄えを決定する.
第9章 自由度
- 名言は,抽象度が高い表現ばかり.
- 抽象度が高いということは,自由度が高いということ.
→ 受け手によって自由に解釈される.
第10章 価値観
- その仕事がどのフェーズ(抽象度)でどのような価値観が求められるのか.場面毎に判断することなく自分が普段生きている世界の価値観で判断しようとするのは危険な行為.
第11章 量と質
- 「複雑で分厚い本」に価値があるのが具体の世界.
「シンプルに研ぎ澄まされた一枚の図」に価値があるのが抽象の世界.
第13章 ベクトル
- 個別の行動の判断に困ったときの拠り所となるのは,「最終的に何を実現したいのか?」という長期的な上位目的.
→ 「枝葉を切り捨てて幹を見る」という,抽象化の考え方がここで生きる. - 具体の世界だけで生きていると,一つ一つの事象に振り回される.
→ 目標までのベクトルを基準に判断する.
第14章 アナロジー
- アナロジーとは,「抽象レベルのまね」.
- 具体レベルのまねは単なるパクリでも,抽象レベルでまねすれば「斬新なアイデア」となる.
→ 抽象度が高いもの(関係性や構造)は,合法的に「盗み放題」. - 身の回りの「一見遠い世界のもの」をいかに抽象レベルで結び付けられるかが,創造的な発想力の根本といえる.
第15章 階層
- 抽象化して話せる人は,「要するに何なのか?」をまとめて話すことができる.
→ 膨大な情報を目にしても,つねにそれらの個別事象の間から「構造」を抽出し,なんらかの「メッセージ」を読み取ろうとすることを考える. - 抽象化の能力は,インターネット上にあふれる膨大な情報から自分の目的に合致した情報を短時間で収集したり分析したりする場面でとくに力を発揮する.
第16章 バイアス
- 人間はどんなものにも「パターン」や「関係性」を見つけようとする習性があるので,意味のないランダムなものにも「パターン」や「関係性」を見つけようとするバイアスがかかってしまうことがある.
第18章 マジックミラー
- 抽象度が高ければ高いほど,一部の人にしか理解してもらえない.
→ 対象の抽象度が上がるに連れて,理解できる人の数が減っていく.
終章 抽象化だけでは生きにくい
- まずは徹底的に現実を観察し,実線の活動を通して世の中の具体をつかみ,それを頭の中で抽象化して思考の世界に持ち込む.そこで過去の知識や経験をつなぎ合わせてさらに新しい知を生み出したのちに,それを再び実行可能なレベルにまで具体化する.
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