10年後、生き残る理系の条件
第1章 生き残るためには,常識を疑う
- 東芝ではフラッシュメモリ事業でキャッシュを積み上げ,その資金を原資に原発など将来、高成長が期待できる事業に投資を行う,という経営方針だった.
- 経営者の事業判断と従業員(個人)との間に,意識の差が随分ある.
- 大企業であっても,専門性の高いエンジニアにとって,新卒で入社した企業で定年まで働き続けることは難しくなっている.
- 会社の危機を嗅ぎ分ける力を持つ.
- 産業の変化のスピードに,人のスキルの変化が追従するのは難しい.
- 現在の仕事に集中しながらも,自分自身に対する客観的な視点を持つ.
- 新しい市場を作るには,技術者も技術以外のマーケティングなどの経営の知識が必要になる.
- 優秀で責任感の強い人ほど体を壊す.
- フットワークを軽く.
- 「T字型人間になる」.まずは専門分野を深めてから,幅広い知識を身につけていく.
- 数学は様々な分野に応用が効く「普遍的スキル」であり,後々自分の財産になる.
第2章 苦境にあえぐエレクトロニクス業界
- 時代の流れが速いため,「昨日の勝者」が,「明日の敗者」になる.
- 良い時代は長く続かないと覚悟し,次の苦境に備える.
第3章 新たに必要なのは文系力
- 日本企業では技術を深く理解した上で,より広い視野で事業を俯瞰できる人が圧倒的に不足している.
- 日本企業の意思決定はボトムアップであることが多いため,経営トップが自ら技術内容を詳細に理解して,決断を下すケースが比較的少ない.
- 迅速な経営判断が必要とされている今では,トップのリーダーシップなしでは生き残ることが難しい.
- 全社員とは言わないが,少なくとも選抜のメンバーに対しては,20代などの早い時期から経営の教育が必要なのではないか.
- これからは,自分自身を一つの商品と見立て,マーケティングを行うことが必要.
- 積極的に自分をアピールし,異分野の人とも知り合うチャンスを増やす.
- 「誰がこの履歴書を読むのか」を意識する.人事部の人にも分かる履歴書を.
- プレゼンをして相手を説得し,研究資金(だけでなく人・モノ・金)を獲得することも大学教授の重要な仕事.
- 専門分野に自身を持っているエンジニアほど,同じ分野,同じ内容の仕事を見つけようとしがちだが,それでは選択肢が減ってしまう.
- その企業はどのような商品を作っていて,そこにはどのような技術が使われているのか.どこに課題があるのか,それに対して自分はどんな貢献ができるのか.相手の視点に立って,アピールする必要がある.
- 最初は隣の分野がわからないのは当たり前,大事なのは違う分野でも学ぼうとする姿勢.
- 自分の強み・技術を抽象化し,幅広い分野で役立てることをアピールする.
第4章 日本のものづくり復活のカギ
- 工学部では,専門技術を教える教育だけでは不十分.利益を上げる仕組みを考える.
- エンジニアリングデザインとは,何を作るか,どうやって技術でマネタイズするか,という技術経営を教える試み.
- 徹底的に使う人の立場に立って,商品や技術を考える.
- アップルが重視するのは,商品の機能ではなく,ユーザーができる経験,ユーザーエクスペリエンスである.
- 技術によって実現する機能が,ユーザーの経験を高めるかどうか.
- 「リベラルアーツとテクノロジーの交差点に,新しい価値が生まれる」
- TwitterのようなSNSは,自分とは異なる分野の情報を収集する手段として有効.
第5章 エンジニア人生は逆張りでいこう
- 味方になってくれる人を1人ずつでも増やしていくこと.
- 激しい変化を予測できないから,あらかじめリスクを分散する.
- 良質な基礎のインプットがあってこそ,アウトプットができる,課題を解決できるようになる.
- 英語習得のために,自分に投資する.
- エンジニアならば,自分の技術を世界で認めてもらうには,英語ができないと損になる.
- 本業の実力があっても,コミュニケーションに必要な英語ができなければ,チャンスが減ってしまうのが現実.
- 「この人と一緒に働きたい」という直感を大事にする.
- 戦略なり技術なりの武器も持たずに,「なんとなく流行っているから参入する」では勝てないのは当たり前.
- 「もうダメだ」と思うか,「まだまだ自分はやれる」と思うかが,勝負の分かれ目.
対談 会社を飛び出した先に道はあるのか?
- 会社としては終身雇用だから,1つのものに特化して成長してほしいという思いがあって,なかなか違う分野には行かせづらい.
- 人事にとっては,技術系の優秀な人というのがわからない.
- 新卒で入社して現実に目覚めたときに,「どう行動できる人材になっておくか」ということが大切.
- 何をやりたいのかを明確にする.ビジョンを持つ.
- 「何をつくりたいの?何をやりたいの?」に答えられない学生が一番困る.
- 労働市場での人材価値を高めるのと社内価値を高めるのとでは,全くベクトルが違う.
まとめ
- 自分の研究が,「どう役に立つのか」「どうすれば売れるのか」ということを常に考え,経営者的な視点を持つ.
- 車のIT化が一層進むと,トヨタのライバルがアップルやグーグルになる.そのときに,果たしてトヨタは今のような優位に立っていられるか.